サルナシに皮膚がん抑制効果 岡山大大学院・有元准教授が確認

がん抑制効果などが確認されたサルナシ=2011年9月

有元佐賀恵准教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(遺伝毒性学)が、サルナシに皮膚がんの抑制効果があることを確認した。同大が発がん抑制剤として特許申請している。サルナシ栽培を進める新庄村が研究を依頼。村は今後、特産品化を目指す。

 サルナシはキウイの原種とされ、果実は直径2〜3センチの緑色。ビタミンCが豊富で滋養強壮効果などがあるとされてきた。

 有元准教授は、マウス20匹にがん誘発物質と発がん促進物質を塗布する実験で、半数にはサルナシ果汁の濃縮液も塗り、20週間にわたって経過を観察。サルナシ果汁を塗布したグループの5匹のみが皮膚がんを発症しなかった。

 マウス実験では炎症の予防効果も確認。試験管実験では遺伝子に悪影響を与える作用を抑える効果や、老化の原因とされる遺伝子の酸化を防ぐ抗酸化性作用もみられた。

 有元准教授は「期待以上の成果。今後はサルナシに含まれるどの物質ががん抑制作用を持つのか突き止め、他のがんへの効果を見極めたい」としている。

 新庄村は2002年から転作作物としてサルナシ栽培を奨励。村サルナシ栽培研究会の12人が計約1ヘクタールで栽培し、ワインやジャムに加工したり、一部を生食用に販売している。健康への好影響をアピールする食品として、生産拡大を狙いに村が10年に成分研究を依頼していた。

 研究では村内で栽培する3種類のサルナシを使用。遺伝子に悪影響を与える作用の抑制効果は野生種が最も高かったとの結果が出ており、同会は「生産者の拡大に力を入れたい」、村産業建設課も「特産のもち米・ヒメノモチに次ぐ特産品に育てたい」としている。

(2012年09月17日 更新)

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