日本紅斑熱 感染に注意 昨年全国患者過去最多の178人

病原体を媒介するマダニ

 農繁期や秋の行楽シーズンを迎え、野山に生息するマダニが媒介する日本紅斑熱の感染が懸念されている。昨年は全国の患者が岡山県の3人を含む178人で過去最多。今年の県内発生はまだないものの、隣の福山市では今月に入って患者2人が確認された。多くは軽症だが、治療が遅れると重症化し、死亡するケースもあるため県が注意を呼び掛けている。

 「日本紅斑熱リケッチア」と呼ばれる病原体を持つマダニを介して感染する。刺されると2〜8日後に発症。40度近い高熱と頭痛が続き、全身に赤い発疹が出るのが特徴。全国でこれまで7人が亡くなっている。

 1984年、徳島県で初めて感染を確認。その後、発生報告が相次ぎ、ここ数年、国内の年間患者は130人台で推移していたが、2011年は178人と急増した。被害は西日本南部に集中していることから背景には温暖化があるとみられる。

 県内では09年に初めて確認され、患者はこれまで5人。同年秋には男女2人が感染し、倉敷市の80代男性は当初、風邪と診断されたため治療が遅れ一時重体となった。11年の患者3人は5〜10月、備中、備前保健所管内などで農作業中に刺されたという。

 福山市の今年の患者は計6人。昨年9月には70代男性が死亡する被害も起きている。県環境保健センター(岡山市南区内尾)は「岡山にも病原体がいるのは確実で、いつ患者が発生してもおかしくない」とする。

 マダニは野山や畑などに生息し、8月下旬から10月にかけて活発化する。感染を防ぐには長袖、長ズボンを着用してできるだけ肌を露出しないことが重要。県健康推進課は「高熱や発疹が出たらすぐに医療機関を受診して」と呼び掛けている。

(2012年10月16日 更新)

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