コロナ対策の面会制限 緩和広がる 岡山、広島 医療機関や高齢者施設

条件付きで面会を再開した岡山市立市民病院

窓越し面会を続ける日本原荘。家族はいす(手前)に座り透明スクリーンを挟んでやりとりする

 新型コロナウイルス対策で医療機関や高齢者施設が行う「面会制限」を緩和する動きが岡山、広島県内で広がっている。コロナが5月に感染症法上の5類に移行したのが直接のきっかけだ。面会は住み慣れたわが家を離れた患者、高齢者らが心を癒やせる貴重な機会だけに、各医療機関・施設は感染拡大の波に気をもみながら再開のありようを模索する。

両立


 倉敷中央病院(倉敷市)は今月18日、原則禁止していた面会者の受け入れを再び始めた。3人を上限に、マスク着用で15分間の制限付きとはいえ、予約不要で病棟に入れるようにした。

 長いコロナ禍との闘いで対策の知見を深められたことで再開にこぎ着けた。「患者は家族の顔を見ることで早く回復しようとの意欲が高まる。家族も病状への理解を深められる」と橋本徹主任部長(臨床検査・感染症科)は強調する。

 岡山市立市民病院(同市北区)も14日から予約制で認めた。2人まで、院内の共有スペースで15分間やりとりできる。今城健二院長は「患者や家族からの『会いたい』との声は常にあった。院内感染防止と両立する範囲で対面できるようにした」と説明する。

 いずれも再開は約3年ぶり。5類移行から約2カ月が経過したが、この間の感染状況も見極めて緩和に踏み切ったという。

機会確保を


 国はもともと、面会の機会をつくるよう医療機関・施設に促してきた。5類移行を控えた今年4月には「面会の重要性と感染対策に留意し、可能な範囲で機会を確保するよう検討を」と改めて周知。制限緩和を後押しする背景の一つになったもようだ。

 対応はそれぞれ異なり、津山中央病院(津山市)や福山市民病院(福山市)は5類移行から間もなく、人数や時間に制限を設けて解禁した。特別養護老人ホーム(特養)の幸楽園(福山市)は建物外で行う「窓越し面会」をやめ、館内での直接面会に変更した。倉敷市で特養とショートステイを運営するますみ荘は、別室を設けていた面会場所を居室に戻し、15分の制限も7月から30分に延長した。

リスク


 コロナ感染は現在、拡大傾向を見せている。ワクチン接種が進み治療薬も現れたが、5類移行前からの制限を維持する医療機関・施設も少なくない。

 岡山大病院(岡山市北区)は「重症患者が感染すれば命に関わる」として、今も面会は原則禁止。津山市の特養日本原荘は「高齢の入所者にとって外部との接触は今でもリスク」と、窓越し面会を続ける。

 川崎医療福祉大の仲井達哉准教授(医療福祉学)は「医療機関や施設は命を預かる現場。そのことを患者や高齢者、家族ら面会に関わる一人一人が意識し、自らも感染対策を心がける必要がある」とする。

(2023年07月23日 更新)

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