糖尿病新薬登場で治療格段に進歩 四方賢一・岡山大病院新医療研究開発センター教授に聞く

糖尿病の治療について話す四方教授

 糖尿病をテーマにした公開講座が21日、岡山県医師会館三木記念ホール(岡山市北区駅元町)で開かれる。糖尿病の治療はどの程度進んでいるのか、公開講座ではどんなことが話し合われるのか。岡山県糖尿病対策専門会議会長を務め、公開講座を企画した四方賢一・岡山大学病院新医療研究開発センター教授に聞いた。

 糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気。高血糖の状態が続くと、三大合併症である網膜症、神経障害、腎症をはじめ、多くの合併症を伴います。

 近年は合併症の予防に有効な新薬が登場し、治療は格段に進歩しています。

 腎臓に作用しブドウ糖を尿から排出するのを促し血糖値を下げるSGLT2阻害薬、インスリンの分泌を高めるGLP―1受容体作動薬という2種類の薬は、心不全や冠動脈疾患、腎症の進行予防に効果があることが分かっています。GLP―1受容体作動薬には食欲を抑える働きがあり、正しく使用すれば減量効果も期待できます。

 最近、GLP―1とGIPという二つのホルモンの受容体に同時に作用する薬も開発されました。減量効果はさらに大きく、血糖値もよく下がります。副作用に注意して適切に使用すれば、より強い効果が期待できます。

 糖尿病患者は高齢化しているため、日本糖尿病学会と日本老年医学会は、お年寄りの糖尿病の治療に関するガイドラインを作成しています。

 認知症が進行すると、低血糖を起こしているのに自分で気付かなかったり、自分でインスリンを注射できなくなったりすることがあります。認知機能とADL(日常生活動作)が衰えている人には、低血糖の危険を避けるために血糖値の目標値を少し高めに設定するようにしています。食事療法では、1日に摂取するカロリー量を決めますが、高齢者はフレイル(加齢による心身機能の衰え)を予防するために栄養状態を良好に保つ必要があり、よりきめ細かい対応を心がけています。

 21日の公開講座では糖尿病治療に関する近年の動向、認知症との関わりについて専門医らがお話します。

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 公開講座は21日午後1時半開会。テーマは「糖尿病と認知症~予防と治療の最前線」。山口大の谷沢幸生学長、京都大大学院医学研究科・臨床神経学の高橋良輔教授が講演。岡山赤十字病院理学療法士の小幡賢吾さんと安藤可織さんが糖尿病と認知症を予防する運動を実演する。

 無料。定員は300人。問い合わせは第38回日本糖尿病合併症学会運営事務局(086―250―7681)。

(2023年10月02日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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