健康維持へ歯を清潔に 岡山大名誉教授・山下さんが自費出版 65年間の集大成 虫歯予防研究まとめる

歯科治療の集大成として書かれた「歯は健康の源」

山下敦さん

 歯科医で岡山大名誉教授の山下敦さん(90)=岡山市中区湊=が自身の研究や治療についてまとめた「歯は健康の源」を自費出版した。山下さんは「歯学に携わった65年間の集大成。健康を維持する上で歯を清潔に保つことがいかに大切であるかを知ってほしい」と話す。

 山下さんは大阪歯科大を卒業。同大助教授を経て、1981年に岡山大学歯学部教授に就任。90年から2年間、付属病院長を務めた。99年に退官し自宅で歯科医院を営んでいる。歯科治療の長年の功績が評価され、2016年度には岡山県文化賞を受賞した。

 本(A4判、160ページ)は全20章で構成。義歯やインプラントといった対処療法に関する記述はなく、虫歯の原因や進み方、虫歯・歯周病にかからない予防策を中心に記している。

 正常な歯並びにするためには、乳幼児期から硬いものをよくかむ習慣をつけることが大切と強調。日常の歯磨きについて、歯磨きに清涼剤が入っていると磨き残しがあっても十分に歯磨きできたという錯覚に陥りやすく、研磨剤が含まれていると歯を削ってしまうと警告する。

 口の中の悪玉菌は歯周病や虫歯になるだけでなく、歯の周りの毛細血管やだ液と共に腸に到達して腸内細菌のバランスを崩し免疫力の生成を阻害したり、虫歯菌が脳に伝わって脳内出血を起こしたりすると説明。「悪玉菌を除菌して口の中を清潔に保つことは全身の健康につながる」としている。

 山下さんは「歯を極力削らない」「神経を取らない」のが信条。神経を取って歯と同じ人工材料で治療しても栄養が絶たれた歯は死んでしまい、いずれは根が割れたり化膿(かのう)したりするためだ。

 抜けた歯を入れる時に両側の健康な歯をほとんど削らず歯の裏に人工歯を取り付けた金属フレームを特殊接着材で貼りつける「接着ブリッジ」を世界で初めて考案した経緯や、その治療によって歯が長持ちする理由も説明している。

 2年がかりで執筆した。岡山県立図書館(岡山市北区丸の内)と岡山市立図書館(同二日市町)に寄贈しており、近く閲覧できる予定。

(2024年01月15日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

関連病院

PAGE TOP