新たな感染症対策WGで意見交換 県内医療関係者ら コロナ対応教訓

岡山県内の高齢者施設で活動するクラスター対策班のメンバー=2022年4月(県提供)

 岡山県内の医療関係者らが、新型コロナウイルス禍で構築された医療ネットワークの活用や人材育成の在り方を検討するワーキンググループ(WG)を立ち上げ、意見交換を重ねている。コロナ対応を教訓に、新たな感染症に備える体制整備につなげたい考えで、年度内に県などへの提言をまとめる。

 WGは、診療の最前線に立った医師らがコロナ禍で生まれた人的ネットワークを維持し、発展させる方策を検討しようと、昨年10月に県医師会内に立ち上げた。医師や疫学・公衆衛生学の専門家、保健所の担当者ら約30人が参加する。

 県内では2020年9月に医師、看護師、疫学の専門家らでつくるクラスター(感染者集団)対策班が結成され、高齢者施設や事業所など延べ400カ所以上で活動した。施設側の負担軽減だけでなく、施設内での療養を支援することで医療の逼迫(ひっぱく)を緩和する役割も果たした。

 月1回程度の会合では「クラスター対策班の枠組みを残すべきだ」「感染症の対応人材が不足している」「疫学調査に使う情報共有ツールの開発が必要」といった意見が出ており、近く今後の在り方をまとめ、提言として県や県医師会などに提出する方針。

 27日には岡山市内で医療関係者を対象とした特別講演と討論会を企画。広島県感染症・疾病管理センターの桑原正雄センター長による先進事例についての講演や、岡山県内の感染症専門医、精神科医、保健所長らが登壇する討論会を通じて情報共有を図る。

 WG代表の頼藤貴志・岡山大教授は「コロナ禍で培った経験をどう継承し、課題を克服していくか。関係者が知恵を絞り、それぞれの役割分担についても考えていきたい」と話している。

(2024年01月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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