慈圭病院が減酒外来を開設 診察時間は毎週火曜午後

減酒外来の治療計画を話し合うスタッフたち

 慈圭病院(岡山市南区浦安本町)は2日から減酒外来を開設する。飲酒量を少しでも減らして酒と上手に付き合うことを目的に、医師や看護師、臨床心理士らがチームを組んで患者をサポートする。

 患者は、飲酒習慣に関する2種類のスクリーニングテストを受ける。現在の飲酒量が健康への被害や生活への影響が出るほどの程度かどうかを知ってもらう。そして、目標とする減酒量を定め、治療を始める。達成状況や患者の意欲に応じて目標は随時見直す。

 患者には、飲んだ種類と量、どういう状況で飲んだか、目標の達成状況を毎日記入し、週に1度の受診時に持参してもらう。飲酒状況や患者の希望を考慮して減酒につながる薬を処方することもある。

 診療時間は毎週火曜の午後1時~4時。1時からの1時間は新患を受け付け、2時から再診外来とする。3時から4時まで、専門職を交えて患者全員でミーティングをする。

 テーマは、飲酒と健康▽依存症▽厚生労働省の飲酒ガイドライン▽アルコールと食べ物▽依存や中毒▽アルコールに関する歴史▽アルコールと法律▽依存症の治療と自助組織―を想定している。

 同院が既に開設している禁酒外来には毎月、新規の患者が5、6人いる。減酒の潜在的ニーズは禁酒よりも高いとみて、新しい外来を設けることにした。

 同院は「酒をもう少し減らしたいがなかなか減らせないという人たちに伴走していく。『継続は力なり』と信じて治療を続けていこう」としている。

酒量より純アルコール量着目 厚労省ガイドライン

 適量の飲酒を守り心身の健康を維持するには、厚生労働省が2月にまとめた「飲酒ガイドライン」が参考になる。酒量より純アルコール量に着目することが重要だとしている。

 疾患別に発症リスクを例示。大腸がんは1日当たり約20グラム以上、脳梗塞は男性40グラム、女性11グラムで発症の恐れが上がる。女性の乳がんは14グラム、男性の前立腺がんは20グラム。高血圧、男性の胃がんや食道がん、女性の脳出血は少量でもリスクが高まるとしている。アルコール量20グラムはビール中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーのダブル1杯に相当する。アルコール量は「酒量(ミリリットル)×アルコール度数(%)÷100×0・8」で計算できる。

 高齢者は一定の酒量を超えると認知症発症や転倒のリスクも高まる。若年者は多量に飲むと脳機能が落ちるほか、飲んで顔が赤くなるなどアルコール分解酵素の働きが弱い人は、口内や食道のがんのリスクが高くなるという。

 慈圭病院の減酒外来を担当する堀井茂男理事長は策定に携わったメンバーの一員として「ガイドラインを目安に適量を守ってほしい」と話す。

(2024年04月02日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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