倉敷中央病院 脳疾患治療にハイブリッド手術室運用 安全性向上、患者の負担軽減

脳腫瘍のカテーテル治療をする医師ら。この日は無事に治療を終え、開頭手術を後日行う

腫瘍の位置や栄養血管の様子を映したモニターを確認しながら治療が進められる

真剣にモニターを見つめる池田部長(右)。「この先生、この病院で治療を受けてよかった」と思ってもらうのが願いだ

カテーテル治療と外科手術を同時に行うこともあるため、ハイブリッド手術室は通常の手術室の1・5倍の広さがある

ハイブリッド手術室の一角はガラス張り。室外にもモニターがあり、手術の様子をチェックすることができる(画像の一部を加工しています)

手術台の真ん中に備えられた大型の血管造影装置。頭の上下、左右から自在に撮影できる

 倉敷中央病院(倉敷市美和)は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍などの治療で、内科的なカテーテル治療と外科手術の両方に対応できる機器を備えたハイブリッド手術室を運用している。カテーテル治療から外科手術に移行する際、手術室を移動する必要がないため、患者の負担が軽い上、容体も変化しにくく、安全性の向上が期待されている。

 手術室の特徴を写真で紹介する。

   ◇

 脳梗塞などの治療はステントリトリーバーという細い筒状の金属で血栓を取り除くカテーテル治療を行うことが多い。ハイブリッド手術室は、手術台と血管造影装置が一体となっている。この装置が手術台の周囲を回りながらエックス線を照射し、体内の画像や動画をモニターに映し出し、医師はその映像を見ながら治療をする。

 治療の途中で外科手術に切り替えた場合も手術室を移動せずにすみ、患者の体を動かすことによる容体変化のリスクを回避できる。手術とカテーテル治療を同時に行うこともできる。血管造影装置にはコンピューター断層撮影装置(CT)機能もあり、開頭手術中に病変の位置などを確認でき、病変の切除範囲の決定に役立つという。

 カテーテル治療と外科手術の両方の治療スペースを確保するため、床面積は94平方メートルと、一般的な手術室の1・5倍の広さがある。

 同院は年間、約千人の脳卒中の入院患者を受け入れている。中四国屈指の治療実績があり、重篤な患者も多いため、より高度な治療を行えるよう、今年1月から稼働している。

 ハイブリッド手術室は心臓疾患の治療を目的に運用するのが一般的で、同院も2010年から心臓の治療を目的に稼働させている。院内に役割の異なる二つのハイブリッド手術室を設けているのは中四国では珍しいという。

 脳神経外科・脳卒中科の池田宏之部長は「ハイブリッド手術室の運用により、さらに安全で確実な治療を届けられる」と話す。

(2024年04月16日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

関連病院

PAGE TOP