(8)川崎医大川崎病院 分娩再開 レベル高い胎児治療 斜視手術数は中四国屈指

斜視手術を終え一息つく長谷部教授(右手前)ら眼科スタッフ

2016年8月完成予定の新病院のイメージ図

(左から)角田司病院長、中田雅彦産婦人科教授、長谷部聡眼科教授、中野貴司小児科教授

 1939年に岡山市北区中山下の現在地に開院して以来、70年以上にわたり、24時間体制の救急を中心に地域に密着した医療を提供。施設の老朽化に伴い、現在地にほど近い旧深柢小跡地に2016年8月末の完成を目指し、新病院の建設を進めている。

 新病院は、地上15階地下2階。延べ床面積は約7万8千平方メートルと現在の3倍以上に拡大。最新の免震構造を採用し、病床数は704床を計画している。

 11年4月、川崎医大(倉敷市松島)の2番目の付属病院として新たな出発をし、昨年4月、同大付属病院長を長年務めた角田司氏が病院長に就任。同病院はじめ全国から多くの専門医を迎え、医療体制の充実を図っている。

 産婦人科は昨年7月、中田雅彦教授を迎えた。中田教授は、国内の胎児治療の第一人者。胎盤を共有する一卵性双生児の血流が悪くなり、脳性まひや流産、早産などに至る「双胎間輸血症候群(TTTS)」では、子宮内に内視鏡を挿入し、原因となっている血管をレーザーで焼き固め治療する。近畿以西で唯一の執刀医で、院内体制が整った1月以降、既に県外から妊婦7人を受け入れた。

 4月からは、10年10月以降休止していた分娩(ぶんべん)も再開。中田教授は「レベルの高い胎児治療を行うとともに、臨床能力の高い医師を育てることが大学病院の役割」と意気込む。

 10年4月から休診していた眼科も、昨年1月、長谷部聡教授によって診療を再開。

 長谷部教授が専門とする斜視手術件数は、昨年1年間で中四国屈指の332件。眼球を動かす筋肉のずれを治す際、仮留めの糸を微調整し矯正効果を確かめながら行うため再手術のリスクを軽減し、また皮膚に隠れた結膜を切開するため目に見える傷跡が残らない。「いわば腹腔(ふくくう)鏡手術の眼科版。患者の負担が小さいのもメリット」と長谷部教授。

 小児科は、岡山県の委託で県内唯一の県予防接種センターを11年6月に併設。ガーナや中国など世界各地で感染症対策に携わった経験がある中野貴司教授らが、疾患やアレルギーがあったり、海外渡航を計画している人らに対し、「いつごろ接種すればよいか」「接種をしても大丈夫か」といった相談に対応している。

 中野教授は「患者本人やかかりつけ医からの疑問や不安に丁寧に答えたい」と話す。

 がん治療にも伝統的に力を注いできたが、食道がんは猶本良夫教授、肺がんは瀧川奈義夫教授、咽頭がんは秋定健教授、消化器がんは河本博文教授、放射線治療は、IVR(放射線治療技術の治療的応用)の第一人者である三村秀文教授ら、臨床経験豊富な医師により、さらに手厚い体制を整えた。

 角田病院長は「先進的かつ高度な医療を提供できるよう、優れた医師、看護師らのスタッフを充実させるともに、最新の医療技術・機器を導入し、あらゆる疾患に対応できるようにしたい」とする。

◇ 川崎医大川崎病院(086―225―2111)

(2014年04月07日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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