ウイルス媒介のマダニが広く生息 岡山県、独自調査結果を発表

重症熱性血小板減少症候群を媒介するとされるマダニ(県環境保健センター提供)

 岡山県は22日、マダニが媒介するウイルス性感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の対策に生かすため、昨年8月から独自に進めていたマダニの生息調査の結果を発表した。野山などで捕獲された1400検体のうち、ウイルスの保有が確認されたのは2検体だったが、ウイルスを媒介する可能性がある5種類のマダニが年間を通じて広く生息していることが分かった。

 SFTSは2013年7月以降、県内で60代と80代の男女計4人が感染し、このうち80代女性1人が死亡。県は同年8月から今年9月まで県内7地点で毎月マダニを捕ってウイルスの有無を調べてきた。

 ウイルスは備前保健所東備支所管内で昨年8月にフタトゲチマダニの成虫1匹の1検体と、同9月に体長1~2ミリの若虫5匹をすりつぶした1検体から確認。一方、国の調査でウイルスの保有例が報告されたキチマダニが毎月、フタトゲチマダニが3~12月に捕獲されるなど、活動時季ではないとされていた冬でも感染リスクがあることが分かった。

 県環境保健センターの岸本寿男所長は「今回の調査地点ではウイルスの保有例は少なかったが、県内の広範囲にウイルスを媒介する恐れがあるマダニが生息する以上、どの地域でも安心はできない」と説明する。

 県は来年1月に今回の調査結果を載せたちらしを5万部作成し配布する予定。県健康推進課は「野山に入る時は肌の露出を少なくし、帰宅後は体を洗い流すといった予防対策や医療機関への早期受診などを心がけてほしい」としている。

(2014年12月23日 更新)

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