岡山弁スピーカー 川崎医科大 泌尿器科学教授 永井敦

 大学入学の1976年に岡山に来ました。

 まず驚いたのは下宿屋のおばちゃん。「せえじゃけなあ」「○○やこう」「○○ばあ」―。岡山弁との最初の出合いです。

 出身地の松山市はゆるいしゃべり方をする人間ばかりなので、激流の岡山弁に慣れるまで大変でした。

 男子校出身の私が憧れていた女子大生との会話です。

 女子大生「あんごうじゃがあ」。私「暗号?」。女子大生「バカということじゃあ」

 衝撃的な言葉でした。医者になってから知った言葉も多々あります。

 私「今日はどうされましたか」。患者「しっこがしげいんじゃあ」。私「しげい?」

 看護師さんの通訳がしばしば入ります。

 看護師「回数が多いということ」。私「なあるほど!」。患者「せえでなあ、ようさにはらがにがってにがって」。看護師「夜におなかが痛くなったということです」。私「なるほど、なるほど」

 私もだんだん慣れてきて、患者「へえでなあ、へばあでよる」。私「なるほど、おならばかりでるんですね」。「やっちもねー」「はよしねー」。だんだん聞き取れるようになりました。

 恩師である大森弘之・岡山大泌尿器科教授(当時)が教えてくれたのが「でえこんてえてえて」。カラオケでは、菅原洋一の定番を「あーんたのーことやこー知りーたくねーんぞなー」と歌われる大森先生は、サービス精神満点、今も大変お元気です。私も故郷の伊予弁を忘れ、今では岡山弁の方がうまくなりました。まさに岡山が第二の故郷です。

(2015年08月04日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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