愛すべき人々 川崎医科大泌尿器科学教授 永井敦

 この回で、私の担当は終わりです。拙文にお付き合いいただきましてありがとうございます。主に、私が関わった人たちとのエピソードを書いてきました。還暦近くまで人生を重ねたおかげで多くの出会いがありました。

 まだまだ紹介したい魅力的な人がたくさんいます。「料理の鉄人」という番組でキノコ料理の腕を競った同級生。中・高・大学、そして選んだ泌尿器科も同じ、お互いの失敗はすべて知り尽くしている同級生。いつも破顔一笑、岡山在住の熱血プロゴルファー。酔うと際どい話で盛り上がる男前の女医さん。人ではありませんが、困ったことに私の車の屋根で、いつも昼寝をする近所の猫。家人の留守中に、箱を上手に開けて大判焼き3個を平らげた亡き愛犬。

 最初に執筆をお受けした時、1回だけの掲載と思い込んでいました。後で8回もあると知って愕然(がくぜん)。しかし、「一日一題」という大きな宿題と格闘するうちに気付きました。普段書いている医学論文や原稿と違って、明らかに別の脳を使っているのです。すがすがしい気持ちにさえなりました。知らず知らずのうちに笑顔になっていたのでしょう。カミさんに「何にやついているの」と不審がられることもありました。

 「青春時代の無分別からくる失敗、手元不如意だったための不義理、抑制のきかなかった衝動などのたいていのものは、その後の人間的研さんによっては、経た年月が許してくれる」―。泌尿器科の恩師である大森弘之岡山大医学部名誉教授の教えの一つです。私も自分の来し方を振り返りながら、あるがままの自分を受け入れられるようになったのかもしれません。このような機会を与えていただいた山陽新聞社の皆さんに感謝します。そして、出会った全ての愛すべき方々に感謝!

(2015年09月29日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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