小児期の近視進行予防

 小児期に近視が進むのは、眼軸長(目の前から底までの長さ)が伸びるため、焦点が網膜よりも前にずれてくるためです。年齢を重ねると、緑内障や網膜剥離、黄斑変性症を引き起こすリスクがあるため、子どものときの近視予防は、単にメガネの度数が上がるだけでなく、将来の失明リスクを下げる意味で重要です。

 近視を遅らせる生活習慣はかなり分かってきています。本を読んだり、字を書いたりするときはなるべく30センチ以上開けて、正しい姿勢で行うことが大切です。また、屋外活動がいいということも明らかになっています。近法作業(近くを見たり、本を読むなど)が多くても、屋外活動が多ければ、近視になりくいことがデータとして出ています。

 予防のための研究は常に行われています。目薬やコンタクトレンズは副作用から子供には使えませんが、近視予防用のメガネがあります。現状では、予防効果は15~30%と十分ではありませんが、新しい試みが進められています。

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(2013年09月12日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

医療人情報

  • 眼科部長  長谷部 聡
    1985年、鳥取大医学部卒。公立学校共済中国中央病院、岡山大病院などを経て、2013年1月から現職。医学博士、日本眼科学会認定眼科専門医。

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