県内に「スポーツ歯科医」誕生 倉敷の東原さん、五輪視野に活動

マウスガードの大切さなどを指摘する東原さん

 歯学の立場から競技力の向上やけがの予防などに取り組む「スポーツデンティスト」の資格を持つ歯科医師が岡山県内に誕生した。倉敷市で開業し、県歯科医師会常務理事を務める東原慶和さん(57)。県内唯一の有資格者で、11月に発足したスポーツデンティストの全国組織の理事にも就任。2020年の東京五輪などを視野に、活動を本格化させようとしている。

 スポーツデンティストは、特殊な樹脂で歯を覆うマウスガードの普及啓発がスポーツ基本法(11年施行)に明記されるなど、スポーツにおける歯科の重要性が高まっていることから、日本体育協会と日本歯科医師会が13年から共同事業として養成を始めた。医科とスポーツ歯科医学の養成カリキュラム(計46単位)を修了後、審査を通ると資格が得られる。

 東原さんは、今年4月に誕生した1期生67人のうちの1人。倉敷市で空手道場を運営する指導者の顔も持ち、県歯科医師会から募集の話があった際、「自分自身も空手であごに大けがをした経験があり、アスリートのけがの予防に関心がある」と希望した。養成カリキュラムを受けることで「歯科だけでなく、医学全般に関する知識が広がった。指導者としても競技への心構えが変わった」と話す。

 東原さんが理事を務める「日本体育協会公認スポーツデンティスト協議会」などによると、虫歯があったり、かみ合わせが悪かったりすると、競技で十分な力を発揮できない。スポーツによるけがも約3割は口やあごとされ、けがの予防にマウスガードが有効だが、十分に普及しているとはいえないという。

 協議会は全国の歯科医師に協力を求めて競技別の症例をデータとして蓄積。東京五輪を見据え、各種大会の運営に参画したりチームに帯同したりして競技者にどのようなサポートができるかを検討する。スポーツ歯学の研究、教育活動にも取り組む。

 東原さんも今後、競技者向けの講演などを予定しており「蓄積したデータを活用し、安全にスポーツを楽しめる手伝いをしていきたい」と話している。

(2015年12月16日 更新)

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