倉敷天領夏祭り 川崎医科大病院長 園尾博司

 川崎医科大に赴任してから院長に就くまで、仲間とともに多くの患者さんの診療に全力を尽くしてきた。20年以上前に乳がんの手術を受けたという患者さんに出会い、お元気な姿を拝見することも多い。感謝の言葉をいただき笑顔を見ると、心からこの仕事をしてきてよかったと思う。

 乳がん関係の先生方とは長年のお付き合いで親しい人たちも多いが、患者さんを自分に紹介し続けてくれた専門外の先生方や医療関係の人たちには本当にありがたく思っている。最近では医師だけではない幅広いジャンルの人々に目を向けることに喜びを感じ、自分の世界が広がっているように感じている。

 さまざまな職種の人たちの力で川崎医科大病院は成り立っている。倉敷天領夏祭りはそのことを強く実感し、“オール川崎”の絆を深めてくれる。

 院長になってから4回連続で病院の仲間たちと踊りに参加している。年々輪が広がり、今年は総勢180人となった。毎年、景気づけにJR倉敷駅前の屋上ビアガーデンで2時間ほどを過ごす。多職種の知らない人と乾杯を叫び、ビールを飲む。顔は見たことがあるが、名前や職種を知らなかった人たちと何の屈託もなく言葉を交わし、お互いの人となりを知る。それからおそろいの法被に着替えて思い切り踊るのだ。

 この一体感が何ともいえない仲間意識を生む。それは大きな喜びのひとときである。「同じ建物にいながら全く何も知らないということでは、職場を運営できるはずがない」と思えてくる。上下関係のない自由な会話をし、肩を組み合って自然に親交が深まる。白衣を着た日常では果たし得ない夏の宵である。

(2016年11月10日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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