アレルギー性疾患の関与物質特定 岡山大グループ、新薬開発に光

日浅未来助教(左)と竹内智也さん

 花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患を引き起こす化学物質ヒスタミンの分泌に、体内タンパク質「VPAT(ブイ・パット)」が関与していることを岡山大大学院医歯薬学総合研究科の日浅未来助教(生化学)、大学院生の竹内智也さん(同)らの研究グループが突き止めた。18日までに米科学誌電子版で発表した。

 アレルギー性疾患の治療薬としては、これまでヒスタミンの作用を抑える薬剤が多く使われてきたが、VPATの活動を抑制することで症状を緩和する新たな抗アレルギー薬の開発につながる可能性がある。眠気などの副作用が少ない利点が考えられるという。

 VPATは、細胞間の情報伝達を担う物質ポリアミンを輸送する役割を持ち、同グループが以前の研究で発見していた。

 マウス細胞を使った実験で、特定の遺伝子の発現を抑えるRNA干渉法を用いてVPATを抑制すると、ポリアミンの蓄積、放出量が減り、併せてヒスタミンの分泌量も大幅に減少。VPATがヒスタミンの分泌量を調整する働きがあることが分かった。

 また放出されたポリアミンはヒスタミンの分泌を増強していることも判明した。日浅助教は「運搬役のVPATを阻害することでヒスタミン分泌をより効果的に抑えられる。塗り薬や点眼剤、点鼻薬の開発につなげたい」と話している。

(2017年01月18日 更新)

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