「植込型補助人工心臓」 榊原病院が管理施設に 術後の定期検診、感染症対応 新たな受け皿期待

植込型補助人工心臓管理施設となり、患者受け入れに備えて対応マニュアルを検討する榊原病院のスタッフ

 心臓病センター榊原病院(岡山市北区中井町)は5月、心臓移植を待つ患者の命綱となる治療装置「植込型補助人工心臓」の管理施設に、岡山県内で初めて認定された。補助人工心臓治療関連学会協議会が今年から認定を始めた制度で、術後の定期検診や装置のチェックをする施設を増やすことで、移植を受けるまでの間、患者が住み慣れた自宅で療養しやすくし、負担を軽くすることを目指している。

 植込型補助人工心臓は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなった末期の心不全患者の体内に人工ポンプを埋め込み、心機能をサポートする。心臓移植を申請している人が保険適応の対象。移植まで平均3年近くかかるとされ、装置を使うことで、その期間を在宅で過ごすことができる。

 埋め込み手術を行う「実施施設」は全国で約50施設ある。中四国地方では鳥取大や愛媛大が認定されているが、実施件数としては、大阪大や東京大など一部の病院に全国から患者が集中している。患者は万一の機械トラブルや約30%の確率で起きる感染症などに備え、実施・管理施設から2時間以内の場所に住むことが手術の条件となっており、住み慣れた自宅から転居する人が少なくない。

 関西エリアからも交通の便が良い岡山県の榊原病院が管理施設となることで、中四国エリアの患者が手術を受けた場合の新たな受け皿になり得るという。

 同病院では認定までに、心臓血管外科の平岡有努部長ら管理を担当する医師が、多くの手術を実施している大阪大で研修を受けたほか、看護師や臨床工学技士が装置の管理などに関する資格を取り準備を進めてきた。現在は、多職種の職員が定期的に集まって、外来や入院で患者に対応する際に注意することなどのマニュアルを作成し、患者の受け入れに備えている。

 平岡部長は「補助人工心臓は一度入れたら生涯働き続ける夢の機械ではない。移植までの間、患者の体と心のケア、装置の管理など慎重なフォローが必要となる。中四国の患者の在宅療養を支え、実施施設となる準備も進めていきたい」と話している。

(2017年08月21日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

関連病院

PAGE TOP