車内で調剤可能 総社の薬局導入 災害時に派遣、患者へ医薬品供給

アイ薬局が導入した移動型薬局車

 総社市門田に本社を置く調剤薬局が、車内で調剤できる機能を備えた“移動型薬局車”を導入した。医薬品を車内に常備し、薬局が地震や津波で被災して機能しなくなった場合、現地に派遣して医師、薬剤師らと連携しながら患者たちに医薬品を供給する。

 薬局車を導入したのは総社、倉敷、真庭市で4店を展開するアイ薬局。同種の車両については2011年の東日本大震災を教訓に整備する薬剤師会や大学があるといい、アイ薬局によると全国で8台目、団体以外の導入は初めてという。

 アイ薬局の薬局車は、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の名倉弘哲教授(救急薬学)が監修した。ドクターカーとして使われていたワンボックス車(長さ5・7メートル、幅2メートル、高さ2・8メートル)を改造し、慢性的な疾患で毎日の服用が必要な薬を中心に、3日分(患者250~300人程度)を積載。無菌状態で調剤できる装置や保冷庫を備え、医師の処方箋に基づいて薬を提供する。ソーラーパネルや発電機もある。

 アイ薬局によると、国際医療ボランティアAMDA(岡山市)と災害時に連携して対応する協定を結んでおり、要請に応じて岡山県外の被災地にも出向く。地域の防災教育や薬局の仕事を知ってもらうツールとしても活用するという。

 近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震では岡山でも甚大な被害が予想されている。村木理英社長は「災害時の薬品供給の遅れは命に関わる。いざというときのために、いつでも出動できる態勢を整えておきたい」と話す。

(2018年03月07日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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