ベトナム女性2人が旭川荘に就職 県内「介護」在留資格初適用へ

旭川荘に就職し、辞令を手に抱負を語るベトナム国籍のトゥイさん(左)とガンさん

 日本で学び、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が「介護」の在留資格で就労できる新制度の適用を目指し、ベトナム国籍の女性2人が2日、岡山市北区祇園の社会福祉法人旭川荘に就職した。いずれも5月に“外国人介護福祉士”として登録され、岡山県内では新制度の適用第1号となる見通し。「日本語力と介護技術をさらに磨き、日本の福祉を吸収したい」と志は高い。

 「日本の高齢者福祉や障害者ケアを学び、母国との懸け橋になってほしい」。この日、旭川荘での辞令交付式で末光茂理事長はこう激励。同期54人と出席した2人は緊張の面持ちで聞き入った。

 日本語学校の留学生として2014年に来岡したグエン・ティゴック・ガンさん(27)、友人のグエン・キエウモン・トゥイさん(29)の2人。グループホームでのアルバイトを機に介護職に関心を持つようになり、16年に旭川荘厚生専門学院に入学。介護保険制度や実技を学ぶとともに、日本語の勉強にも励んできた。

 「最初は授業についていくのも大変だったが、先生方が補習してくださり、諦めずに頑張れた」とトゥイさんは振り返る。

 共に今年1月、介護福祉士の国家試験を受験し3月28日、トゥイさんは合格した。合格点にわずかに及ばなかったガンさんだが、介護福祉士資格取得の特例措置の適用を受け、いずれも5月には「介護」の在留資格を得られる見込みだ。

 日本語能力試験2級を持つトゥイさんは重症心身障害児施設・旭川児童院で働くといい「言葉の壁を乗り越えたら福祉を学ぶのが楽しくなった。働きながら社会福祉士の資格も取りたい」。特別養護老人ホーム・旭川敬老園に勤めるガンさんは来年、資格取得に再挑戦する考えで「将来は母国で介護サービス業を起業するのが夢」と意欲を見せる。

 旭川荘厚生専門学院には今春、ベトナム、ミャンマー国籍の計4人が入学する。末光理事長は「外国人が日本で介護を学ぶのは生活面、経済面からも大変だが、2人は向上心を持って頑張ってきた。職員たちにとっても刺激になるだけに、学びや生活のサポート態勢を充実させたい」と話した。

 「介護」の在留資格 介護福祉士養成校を卒業した留学生が、介護福祉士の国家資格を取得すれば得られる資格。2017年9月施行の改正入管難民法で新設された。国は17年度、養成校卒業後も国家試験に合格しなければ介護福祉士の資格を与えないよう制度改正したが、21年度までの5年間は合格しなくても介護福祉士登録できる特例措置を設けた。

(2018年04月02日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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