40、50代男性も更年期障害に 不眠やイライラ注意、早期受診を

 やる気が出ない、眠れない、イライラする…。こんな症状が40、50代の男性で続いたら更年期障害かもしれない。加齢やストレスで男性ホルモンの分泌が著しく減ることで発症する。異動に伴う職場環境の変化が引き金になりかねず、春は特に注意が必要だ。岡山県内でも悩む人は珍しくないが、うつ病と間違われてすぐに適切な治療を受けられない恐れがあり、専門家は早めの受診を呼び掛けている。

 「朝、突然起き上がれなくなってから、やる気が出なくなり、食欲もない。仕事も辞めなければならず、地獄のような日々でした」。倉敷市の男性(50)は約6年前に訪れた異変を振り返る。

 うつ病の治療を受けたものの、症状は悪くなる一方。川崎医科大付属病院(同市松島)を受診した時には、自力で歩くことさえできなかった。

 血液検査の結果、男性ホルモン「テストステロン」の分泌が減る「加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群」、いわゆる更年期障害と診断された。それ以降は現在まで同ホルモンの投与を続けており、症状は安定している。「心療内科で処方された薬を飲んでもよくならなかった。早く治療すれば仕事を辞めずに済んだ」と言う。

 同症候群はうつ病と症状が似ており「泌尿器科にたどり着くまで時間がかかる人が多い」と、同病院の永井敦教授(泌尿器科学)。受診者は近年増え、福山市など遠方からを含め現在は月20人前後に上る。中国地方でも有数の診療拠点で、院内の心療内科と連携して患者の早期発見に努めているほか、外部の講演会での啓発活動にも力を入れている。

 永井教授は「ホルモンの分泌を阻害するストレスをためないのが第一」と予防法を説明した上で、異変を感じたら早めに医師にかかるよう求めている。

 テストステロン 精巣で作られる男性ホルモン。筋肉や骨密度を維持したり、情緒面を安定させたりする働きがある。誰でも加齢とともに減少していくが、減り幅や年代は個人差があり、人によっては40代から倦怠(けんたい)感や不眠といった症状が表れる。

(2018年04月12日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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