倉敷の被災地医療支援へ官民結束 「クラドロ」避難所で夜間診療も

倉敷市真備町地区の避難所で夜間診療に当たる医師=14日、岡田小

 西日本豪雨による甚大な被害が出た倉敷市で、公的機関や医療団体、ボランティア団体などが連携した「倉敷地域災害保健復興連絡会議」(KuraDRO(クラドロ))が立ち上がった。面積の3割が水没した真備町地区を中心に、医療・保健分野で必要とされる支援内容を集約・共有し、地域の実情に沿った活動を展開する。既に避難所での夜間診療などを始めている。

 復興連絡会議は事務局を倉敷市保健所に置き、同保健所や岡山県備中保健所、厚生労働省、県、日本医師会、日本赤十字社、全日本病院協会、国際医療ボランティアAMDA、災害派遣医療チーム(DMAT)などで構成。被害が拡大し、県内外から避難所に派遣された医療チームが軸となって情報交換する中で形成され、倉敷の「クラ」、災害復興会議を意味する「ディザスター・リカバリー・オーガニゼーション」の頭文字を組み合わせた。

 朝、夜と1日2回のミーティングを開いた上で医療・福祉サービスや避難所生活、救援物資などに関する被災者のニーズを分野ごと集約し、各団体で情報を共有。役割分担をするとともに、支援方針を決め、実践する。

 医療分野では真備町地区の避難所に診察室を設け、巡回診療を実施している。活動に当たっては、熊本地震の際に初めて運用された災害時診療用の情報集約システム「J―SPEED」を駆使。被災者の病気やけがのデータが迅速に解析でき、現地の状況に応じた効果的な対応策を打ち出せるという。

 避難所での夜間診療は14日にスタートさせた。厳しい暑さの中、昼間に自宅の片付けなどで体力を消耗し、夕方から避難所に戻ってくる人たちの健康管理に対応するためだ。

 岡田小(同町岡田)の避難所では同日、被災地応援で同町入りした大阪赤十字病院のチームが夜間診療を担当。午後3時~8時、けがをしたり、不眠や体調不良を訴えたりしている約20人を診た。「半袖で家の片付けをしたから日焼けがひどい。足にもまめができた」という70代女性は受診して薬を処方され「昼は作業があり、なかなか時間が取れないのでありがたい」と感謝していた。

 復興連絡会議はほかにも、浸水した呉妹診療所(同町尾崎)の敷地内にテントを設け、医師や看護師、薬剤師を派遣して診療業務をサポート。今後は同地区で被災した医療機関の再開や福祉サービスの復旧を視野に活動する考えだ。

(2018年07月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

関連病院

PAGE TOP