子宮頸がんワクチンの再考を 県内3産婦人科医がプロジェクト

 国が5年前、接種の積極的な呼び掛けを中止した子宮頸(けい)がんワクチンを再考するプロジェクトを、岡山県内の産婦人科医が立ち上げた。正しい知識を広め、ワクチンと検診の有効性を訴えていくのが目的で、第1弾として、9日に岡山市内で公開講座を開く。

 子宮頸がんは、国内では年間約1万人が発症し、約2900人が死亡している。プロジェクトは、金重恵美子・県産婦人科医会理事、川崎医科大の中村隆文教授、ウィメンズクリニック・かみむらの上村茂仁院長の3人が、がんで苦しむ女性と家族をゼロにしようと、8月に立ち上げた。

 ワクチンを巡っては、国は2013年4月に定期接種の対象としたが、健康被害の訴えがあり、2カ月後には積極的な呼び掛けが中止になった経緯がある。ただ、中村教授は「ワクチンを接種し、2年に1度、検診を受ければ100%近く予防できる」と強調。「日本の接種率は1%未満で、海外では70、80%を超える国もある。これ以上、苦しむ女性を出さないためにも、予防に力を注がなければ」と話す。

 公開講座は、9日午前10時、県医師会館(岡山市)で開催。副作用とワクチン接種との因果関係を証明する科学的根拠は示されていないことや、ワクチンを導入したオーストラリアや米国など複数の国で、子宮頸がんの前段階の病変の発生が約半分に減っている報告などを紹介する。

 プロジェクト代表世話人の金重理事は「子宮を失い、健康を害して、さまざまなことをあきらめてほしくない。まず正確な知識を得てほしい」と呼び掛けている。受講無料。問い合わせは県産婦人科医会(086―250―2382)。

 子宮頸がんワクチン 子宮の入り口付近にできる子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチン。20~30代の若い患者が急増し、2013年4月、小学6年~高校1年相当の女子を対象に原則無料の定期接種となったが、けいれんなどの報告が相次いだ。

(2018年09月07日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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