真備の被災老健施設が通所再開 87日ぶり、復旧望む声を力に

通所サービスを再開した施設でラジオ体操を行う利用者

 西日本豪雨による浸水で休業していた介護老人保健施設・ライフタウンまび(倉敷市真備町箭田)が1日、通所サービスを87日ぶりに再開させた。5階建ての施設は2階まで漬かり大きな被害を受けたが、復旧を望む利用者らの声に応えようと職員が奮闘。流れ込んだ泥などを撤去して運営態勢を整えたほか、被災した利用者宅にも駆け付けて片付けを手伝った。

 施設は1997年に開業し、1階を事務所、2・3階を入所、4・5階を通所で使用。同豪雨では入所利用者や職員ら約80人が孤立し、消防などのボートで救助された。アニマルセラピーの一環として隣地の牧場で飼っていたミニチュアホース・リーフも、濁流を奇跡的に生き延び民家の屋根上で見つかった。

 職員たちは、入所利用者全約50人を運営母体の倉敷成人病センター(同市白楽町)へ一時避難させ、別の受け入れ先を探した上で施設と牧場の泥かきを開始。安否・被災状況の確認のため、通所の全約220人を含む利用者全員の自宅を巡回し、水没した家具などの搬出もサポートした。

 励みになったのは「再開を心待ちにしている」と口をそろえる利用者の存在。職員の一人で社会福祉士の男性(35)=同市=は「(住人が減り)夜になると真っ暗になる真備町に一日も早く希望の『明かり』をともそうと奮起した」と振り返る。

 再スタートを切った1日は、使用のめどが立った4階で利用者15人がラジオ体操などを行い、男性(89)=同市真備町=は「久々に友人らと会えて元気が出た」とにっこり。岡山市の牧場に避難するリーフも一時里帰りし、利用者が差し出すニンジンを勢いよく頰張った。

 当面は通所サービスのみの予定だが、桑原一朗施設長は「施設に利用者の笑顔が戻り、大きな一歩を踏み出せた。完全復活に向けて頑張りたい」と力を込める。

(2018年10月01日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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