(3)看護師の糖尿病療養支援 岡山ろうさい病院看護部長・認定看護管理者 菊地馨、糖尿病看護認定看護師 高杉麻里

「世界糖尿病デー」に合わせたイベントではシンボルの青い輪を飾り付け、血圧や血糖測定のコーナーを設けて糖尿病予防への意識を高めてもらっている

さまざまな職種の職員が糖尿病の最新治療や合併症の怖さを伝えるポスターを作り、展示している

菊地馨看護部長

高杉麻里看護師

 岡山ろうさい病院看護部は「信頼される看護を提供し、地域の人や働く人がその人らしく生きることを支援する」との理念を掲げ、患者さんが健康障害を持ちながらも、あらゆる場においてその人らしく暮らせるように支援しています。特に治療と仕事のバランスを保ち、仕事を辞めることなく生活を維持することを目指し、ケアを受ける方々に寄り添う看護を提供する組織運営を心掛けています。

 私たちは、看護学生の臨地実習の場として、複数の看護大学・専門学校の学生を受け入れています。専門性の高い専門看護師・認定看護師・特定行為認証看護師を育成すると同時に、ジェネラリストとして高い現場力を発揮するため、看護実践能力を評価する日本看護協会の「クリニカルラダー」を導入し、人材活用に取り組んでいます。

 地域の医療・介護関係者が集う「岡南看護フォーラム」も開き、ケアの知識・技術を共有し、地域に貢献する場としています。今回は糖尿病看護認定看護師の活動を紹介します。

 糖尿病の初期には自覚症状がほとんどないため、発症しても放置されることがあります。そのため治療の開始が遅れたり、糖尿病と診断されても通院中断に陥りやすく、治療継続が困難になる場合があります。

 当院の糖尿病教育入院は2週間のプログラムを組み、私たちは糖尿病教室での学習支援や血糖コントロールのための治療、退院後も引き続き療養生活を送るための援助を行っています。患者さんの中には貴重な時間を割いて入院されている方もおられ、血糖値の自己測定などの学習に取り組み、医師に指示された食事や運動、薬物療法を実践していただきます。

 成人患者さんの学習では、成果がすぐに役立つものであれば、現在困っていることを解決するために取り組むことができるとされています。例えば、入院中に食事・運動療法を行い、減量に成功した人は、それを維持しようと退院後の目標を立案します。

 その目標が高すぎると継続しにくいため、看護師は患者さんの生活パターンを把握した上で、ときに目標を修正しながら、一緒に考えています。退院後は外来担当者に情報提供書や勤労者シートを送り、目標達成に向けて食事や運動に取り組んでいるかを確かめ、支援を続けています。

 11月14日の「世界糖尿病デー」を記念し、当院は2014年からイベントを開き、地域の方々や通院・入院患者さん、院内スタッフに、糖尿病の最新情報を伝え、生活習慣の見直しを通じて糖尿病予防への取り組みをお願いしています。

 毎年テーマを考え、さまざまな職種の職員が作製したポスターを展示し、情報を提供しています。無料で血圧や握力、血糖、血管年齢を測定したり、糖尿病性腎症の怖さを知っていただくため、公開講座を開いたり、食事の減塩の工夫をお伝えしています。

 今年も11月13日午後1時半からイベントを開催します。どなたでも参加できますので、ぜひお立ち寄りください。詳細は当院のホームページに掲載しております。

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 岡山ろうさい病院(086―262―0131)

 きくち・かおる 関西労災病院勤務を経て東北労災病院看護部長、2015年から岡山ろうさい病院看護部長。昨年から独立行政法人労働者健康安全機構看護監兼務。認定看護管理者。

 たかすぎ・まり 1992年から岡山ろうさい病院勤務。現在は循環器、血液内科、糖尿病の病棟を担当。日本糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師。

(2018年10月15日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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