真備に福祉・医療の支援センター 11月開設、関係者ら相談や送迎

「お互いさまセンター」の開設に向けた勉強会。多田さん(右奥)が活動概要を説明した=倉敷市真備町箭田

 西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区の福祉・医療関係者が、被災者の電話相談や送迎支援に取り組む「お互いさまセンター」を11月1日に開設する。発起人のNPO法人代表・多田伸志さん(58)は「被災者同士で支え合う仕組みをつくりたい」としている。

 センターは障害者や高齢者、子育て世帯をはじめ、支援が必要な全ての被災者を対象とする。生活の困り事に関する相談のほか、移動手段を失った人の送迎、独居高齢者らの掃除や入浴などのサポートを目指す。

 実施主体は「真備地区関係機関・事業所等連絡会」(真備連絡会)。真備町地区で障害者や高齢者、児童を支援する約20の福祉・医療機関で構成する。

 倉敷市によると、真備町地区では9月中旬までに、浸水被害に遭った約20の福祉関連施設が業務を停止。真備連絡会メンバーの施設も数多く被災しており、多田さんは「私たち自身が被災しているからこそ、被災者の胸の内にある悩みや苦しみに気付き、寄り添う支援ができる」と話す。

 活動を通じて聞き取った被災者の思いは倉敷市側に伝え、市が2018年度中に策定する「復興計画」に反映させたいという。

 当面は無料で支援に当たる予定で、公益財団法人「みんなでつくる財団おかやま」(岡山市北区奉還町)の助成金などを運営資金に充てる。事務局は、多田さんが代表を務める精神障害者支援のNPO法人「岡山マインドこころ」(倉敷市真備町箭田)に置く。

 センター設立に向けた勉強会を10月23日、同所の介護老人保健施設「ライフタウンまび」で開き、熊本地震の被災者支援に取り組む弁護士で熊本学園大教授の東俊裕氏が講演。東氏は「行政の支援には限界がある。被災者がお互いに支え合う地域づくりが求められている」とし、センターの意義を強調した。

(2018年10月30日 更新)

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