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旭川荘の保育園 4月開園 障害児も健常児と共に受け入れ

4月1日の開園を待つ「ひらたえがお保育園」

 ノートルダム清心学園前理事長の故・渡辺和子さんの著作権収入を活用し、社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)が同平田に整備していた「ひらたえがお保育園」が4月1日に開園する。医療的ケアが必要だったり、障害があったりする子どもたちを健常児と共に受け入れる。園名には、苦難に直面しても渡辺さんのように笑顔を大切にして乗り越えていく力を育んでほしい―との願いを込めた。

 生後6カ月~就学前が対象で定員は90人。岡山県内に保育の受け皿がほとんどないとされる重度の知的・身体障害児や医療機器の装着が必要な「医療的ケア児」らを全体の15%程度受け入れる。専門知識を持つ保育士17人とたんの吸引など医療的ケアができる看護師1人を配置し、特性を把握しながら健常児と同じ部屋で保育する。

 市の認可保育園で、今春、発達障害児やダウン症児、医療的ケア児ら14人と健常児65人が入園する予定。建物は社会福祉施設「ひらた旭川荘」(同平田)内の鉄骨2階延べ約730平方メートル。障害児専用の保育室も設けた。

 旭川荘は、江草安彦名誉理事長(故人)が学園役員に就くなど、2016年末に89歳で亡くなった渡辺さんと関係が深く、著作権を相続。「恵まれない子どもたちや障害のある人などの福祉に使って」との遺言に基づき、法人初となる保育園の開設を計画した。総工費約3億7千万円の一部に著作権収入を充てた。

 発達障害の長男(5)と左半身が病気でまひした次男(2)を1人で育てる会社員女性(40)=同市南区=は「入園が決まって救われた気持ち。専門的なケアと自立心を養う保育に期待している」と言う。

 園は障害児家庭を支援するため、1日単位の一時預かり(1日10人まで)も行う。開設準備室の江田加代子室長(67)は「障害児と一緒に過ごせば健常児にも障害を個性として受け入れる心が育つ。子どもたちが共に安心して成長できる園にしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年03月25日 更新)

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