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(9)サービス付き高齢者向け住宅とは? 倉敷スイートレジデンス主任 渡部綾希子

渡部綾希子主任

 前回ご紹介したさまざまな施設の中でも今回は、地域包括ケアシステムの拡充のため、2011年に創設された「サービス付き高齢者向け住宅」について詳しくお話ししたいと思います。

(1)サービス付き高齢者向け住宅とは

 皆さんは「サ高住」「サ付き住宅」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。介護・医療と連携し、高齢者が安心して生活できるサービスを提供するバリアフリー構造の賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」のことで、11年10月に「高齢者住まい法(高齢者の住居の安定確保に関する法律)」が改正され、誕生しました。

 登録基準があり、住宅としての広さに加え、専用部分に台所や水洗便所といった設備、バリアフリー構造であるといったハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家らによる「安否確認」や「生活相談」のサービスを提供することになっています(表1)。

 そのほか、食事提供などの生活支援サービス(オプション)を提供するサ高住も多くあります。介護や医療が必要になると、訪問介護や訪問看護、デイサービスなど介護保険サービスを利用することもできます(図1)。

 必要なサービスを受けながら、要介護状態であっても住み慣れた地域で暮らし続けることのできる「住まい」と言えるでしょう。

(2)サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

 60歳以上の高齢者(特定施設入居者生活介護の場合は要支援1以上の介護認定が必要)、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方が対象です。

 「自宅での生活に不安を感じて施設の入所を考え始めたけど、ある程度は自由に生活したいな」と思っている方には、サ高住だと個別の生活が優先され、自宅のようにプライバシーと自由が確保された生活ができます。

 近年では、介護や医療が必要になった場合でも住めるよう、介護サービス事業所を併設しているサ高住も多くあります。サ高住ごとに受けられるサービスは異なるため、詳しく確認することをお勧めします。

(3)サービス付き高齢者向け住宅はどんなところか

 サ高住はそれぞれに特徴を持っています。今回は倉敷スイートタウン4階と5階にあるサ高住「倉敷スイートレジデンス」での生活をお伝えしながら、ご紹介します。

 倉敷スイートレジデンスには「住宅型」(4階)と「介護型(特定施設入居者生活介護)」(5階)の2種類があります(図2)。

 24時間、ケアの専門家らが常駐し、状況把握や生活相談サービス、食事の提供、夜間の緊急対応などを行っています。安心安全のためのセキュリティーシステム、展望風呂やシアタールーム、コミュニティーラウンジなどのアメニティーも充実しています。

 1階には倉敷スイートホスピタルがあり、外来受診や訪問診療、往診が受けられます。訪問介護・看護ステーション、通所リハビリテーションなども備え、建物内で医療・介護・介護予防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく提供でき、入居者のニーズに合わせた暮らしをサポートしています。

 5階の「介護型」はフロアに常駐している看護・介護職員による身体介護を受けることができます。

 倉敷スイートレジデンスは要介護認定を受けていない方(自立の方)から介護や医療が必要な方まで入居可能となっていますので、いつでもお問い合わせください。

(4)最後に

 重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう、サ高住は地域の福祉・医療・交流の拠点としてだけでなく、多世代交流の拠点として必要なサービスを受けながら暮らし続ける「地域包括ケアシステム」の中心的存在として期待されています。

 サ高住を選ぶ際は、複数のサ高住、または介護保険サービスを利用できる施設を見学し、十分に説明を聞いた上で、自分に合ったサ高住を選ぶことが大切です。

 わたなべ・あきこ 倉敷天城高校、ノートルダム清心女子大学卒。株式会社リクルートで営業職を経て2012年から現職。社会福祉主事任用資格。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年04月02日 更新)

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