文字 

禁煙継続が困難な傾向にある人は 済生会病院の川井部長ら追跡調査

川井治之診療部長

 過去にうつ病や統合失調症を患った人は禁煙を達成しにくい傾向にあることが、岡山済生会総合病院(岡山市北区国体町)の川井治之診療部長(呼吸器内科)らの調査で分かった。川井部長は「禁煙成功には禁煙外来の継続的な受診が欠かせない」としている。

 2008年8月~18年7月に同病院の禁煙外来を受診した15~88歳の男女530人を追跡調査。外来で禁煙補助薬の処方や生活習慣を見直すための指導などによる3カ月間の禁煙プログラムを行うとともに、1年後にたばこを吸っているかどうかを確認した。

 調査によると、プログラムを終えた段階で、うつ病、統合失調症の既往歴のない人はそれぞれ70%以上が禁煙を継続していたのに対し、うつ病を患った人は36・0%、統合失調症を患った人は22・1%しか禁煙を継続できていなかった。1年後については、既往歴のない人は約半数が禁煙を継続していたが、うつ病は29・3%、統合失調症は8・3%にとどまった。

 精神疾患と喫煙習慣の関係には不明な点もあるが、精神疾患患者の喫煙率はそうでない人に比べて高いことが指摘されている。「たばこをやめたい」と考えていても、うつ病や統合失調症の既往歴のある人は外出がおっくうになりがちで、川井部長によると、禁煙外来を1回受診しただけで以降は来なくなるケースが多いという。

 禁煙することがストレスになってうつ症状が一時的に悪化することがあるが、長期的には改善するともされている。川井部長は「禁煙外来の受診を継続すれば禁煙成功につながる可能性は高くなる。2回目以降も受診してもらうような働き掛けを検討していきたい」と話している。

 調査結果は山形市で11月に開かれた「日本禁煙学会学術総会」で発表した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年12月15日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ