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ロボスーツで運動機能回復 倉敷のケアセンター、病院と提携

岡山ロボケアセンターで、HALを装着して歩行訓練する中村さん

 体の動きを補助するロボットスーツ「HAL(ハル)」を活用し、高齢者らの運動機能回復を手掛ける「岡山ロボケアセンター」(倉敷市幸町)が事業を本格化させている。事故や病気などで体が不自由になった人たちに訓練の場を提供。地元の病院とも提携し、医療・介護分野への浸透を目指している。

 「いいペースで歩けていますね」。同センターのスタッフが、両脚に白いHALを装着して歩行訓練に励む男性(69)=福山市=に声を掛ける。脳内出血で右脚などが不自由になり、半年ほど前から利用している男性は「以前より歩幅が広がり、立ち上がるのも楽になった」と笑顔を見せた。

 同センターは2019年2月、HALの普及を進める自動車部品製造の井原精機(井原市上出部町)や筑波大発ベンチャー・サイバーダイン(茨城県)などが設立した。訓練は6月から始め、現在は月に15人前後が利用。脚が不自由な人向けの「下肢タイプ」、正しい姿勢を保ち転倒を防ぐ「腰タイプ」など一人一人の状態に応じたHALを使い、柔道整復師などの資格を持つスタッフが指導する。

 訓練ノウハウを高めるため、倉敷紀念病院(倉敷市中島)と技術提携。医師の助言を受け、10月からは同病院グループの介護施設でのリハビリ用に腰タイプを貸し出している。知名度アップへ県内外の福祉フェアなどで体験会も開いている。

 今後も提携先の医療機関を増やしていく方針で、中野俊太郎センター長(44)は「HALの機能を知ってもらい、将来は医療現場などに『あって当然』と言われるよう根付かせたい」と話している。

 HAL サイバーダイン社長の山海嘉之・筑波大教授=岡山市出身=が開発。体を動かそうとする際、脳から筋肉に流れる電気信号を感知して動作を補助し、機能回復を促すという。医療分野のほか、工場などでの作業負担軽減にも活用されている。ロボケアセンターは同社が全国で展開しており、岡山を含め14カ所にある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年01月23日 更新)

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