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アビガン、県内コロナ患者に投与 症状改善を確認 4指定医療機関

インフルエンザ薬「アビガン(一般名・ファビピラビル)」(富士フイルム提供)

 新型コロナウイルスへの治療効果が期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」について、岡山県内の全4指定医療機関が研究目的で新型コロナの患者に使用できる態勢を整えたことが14日、医療関係者への取材で分かった。既に県内の患者に投与されており、その後の症状改善が確認されている。

 アビガンは、富士フイルム傘下の製薬会社「富士フイルム富山化学」(東京)が開発し、新型コロナのようなRNAウイルスの増殖を抑えるとされる。中国の臨床研究で患者の症状が改善したとの報告があり、国内でも3月末から承認に向けた臨床試験が始まっている。

 県内の指定医療機関は岡山大病院(岡山市)、岡山市立市民病院(同市)、倉敷中央病院(倉敷市)、津山中央病院(津山市)。

 医療関係者によると、いずれも本人の希望や病院の倫理委員会の了承があれば、患者への投与が可能となる。ただし、アビガンは動物実験で胎児に奇形が出る恐れが指摘されており、妊婦や妊娠の可能性がある女性には使用できない。

 県内のある指定医療機関では、人工呼吸器の装着が必要な患者へ投与したところ、数日で呼吸器を取り外せる状態にまで回復した。医師らが投与と症状改善の相関関係を調べている。

 政府によると、全国では120例を超える投与が行われ、一定の治療効果が確認できたとされる。安全性と治療効果が認められれば、7月以降にも治療薬として使用できる可能性があり、国はアビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大する方針を示している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年04月15日 更新)

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