広がる 手術前にコロナ感染検査 県内医療機関、院内感染防止へ
岡山大病院(岡山市)は6月1日からPCR検査を始める。29日には医師らが患者の検体を採取する手順などを確認した。対象は全身麻酔の手術を受ける患者の一部で、1日で多い時に20~30検体の採取を見込んでいる。
同病院によると、鼻から内視鏡などを入れる手術で霧状の微粒子(エーロゾル)が発生して感染リスクが高まるといい、検査はこれらの手術を担当する耳鼻咽喉科や脳神経外科での実施が主に想定される。主治医が検査の必要性を判断し、陽性反応が出た場合は保健所に報告するなどして必要な対応を取る。
新型コロナの感染拡大で中止や延期になった手術も多い。同病院の検査部長を務める大塚文男副院長は「自覚症状がない人からの感染を未然に防ぎ、診療体制を維持していきたい」と話す。
県内では他に、川崎医科大付属病院(倉敷市)が5月11日から手術時にPCRよりも検査結果が早く出る「LAMP(ランプ)法」という簡易検査を開始。同法での検査は、川崎医科大総合医療センター(岡山市)が導入に向けて準備中、津山中央病院(津山市)は検討中としている。
岡山赤十字病院(岡山市)は結核の診断用に以前から使用しているPCR検査の機器を活用し、新型コロナの感染も調べられるようにしている。「検査結果は75分くらいで出るので、手術前にそれほど時間を取られなくて済む」と守本堅事務部長。岡山済生会総合病院(同市)や岡山労災病院(同市)もPCRを軸に検査態勢の構築を進めている。
倉敷中央病院(倉敷市)は4月上旬にLAMP法を導入した。臨床検査・感染症科の橋本徹主任部長は「手術に限らず、感染が疑われる状況であれば患者の状態を総合的に判断した上で検査を実施している」と説明。一方で、検査の精度の限界も挙げ「検査以外のさまざまな感染防止対策も取っていくことが最も重要だ」と話している。
(2020年05月30日 更新)