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(1)コロナ禍、アフターコロナの過ごし方、病院へのかかり方 津山中央病院総合内科・感染症内科特任部長 藤田浩二

藤田浩二氏

 2019年12月に中国武漢市から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID―19)は、皆さんもご存知の通り短期間の間に世界中に拡大し、7月12日現在、全世界の感染者総数は1232万2395人、死者は55万6335人(国内総感染者数2万1577人、死者982人)になりました。第1波は過ぎたとは言え、現在もなお感染拡大の勢いは治まる気配はなく第2波が始まっており、私たちの生活はCOVID―19発生前の状態にはもはや戻ることはできないと思います。

 しかし、このまま私たちの生活は萎縮した状態で終わってしまうわけにはいきません。これからは、各自がCOVID―19をよく理解し、この疾患との付き合い方、感染防御の仕方をしっかり身に付けた上で社会活動を継続することに挑戦しなければなりません。

 そこで、改めてですが、(1)COVID―19の臨床的特徴(2)重症化しやすい人の特徴(3)感染から身を守る防御方法をお伝えします。

 (1)図のように、全体の8割の人は普通の風邪と同じような経過をたどり1週間以内に治癒します。しかし、全体の2割の人の症状は肺炎に進み、全体の5%ほどの人が超重症化し、2―3%の人が命を落とします。

 (2)年齢とともに死亡率が高くなることがわかっており、一般的に超重症化しやすく致死率が高いのは高齢者(特に80歳以上)、悪性腫瘍や心臓や肺などの持病を抱える方ですので、最優先で守るべき対象になります。逆に子どもはかかりにくく、かかっても軽症で治癒します。

 (3)生活の中で感染から身を守る方法は、実は特に新しい話は何一つありません。(1)飛沫(ひまつ)感染対策(インフルエンザの対応と同じ)と、(2)接触感染予防策(ノロウイルス腸炎などの下痢症対応と同じ)の二つが基本予防策となります。つまり、皆さんが生活の中で行う対策としては、(1)手指衛生(手洗いやアルコール消毒)(2)マスク着用(3)3密を避けること、を徹底するだけで感染経路のほとんどを遮断できるのです。ですから、今後も全員で同じ基本対策を行うことで社会活動が維持できます。

 最後に、今後の岡山県北の医療に関してですが、当院は県北の救急診療の砦(とりで)であり、高度救命救急診療を維持しなければなりません。幸いにも、当院は感染症内科、感染管理チーム、微生物検査室の全てがそろう中四国エリアの中でも数少ない感染症指定病院でもあり、高いレベルの感染管理を提供できます。皆さまに安全な医療サービスを提供できますので、今後も上記三つの感染対策を行いながら、今まで通り受診して頂ければと思います。

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 津山中央病院(0868―21―8111)

 ふじた・こうじ 京都薬科大学薬学部薬学科、岡山大学医学部医学科卒業。亀田総合病院総合内科および感染症科を経て、2017年から津山中央病院総合内科・感染症内科。20年4月同科特任部長、感染制御管理責任者、卒後臨床研修センター長。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年08月03日 更新)

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