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子どもの予防接種 延期しないで 県医師会理事が呼び掛け

「予防接種は不要不急ではない」と話す國富理事

 新型コロナウイルス感染症への不安から、子どもの定期予防接種を控えたり遅らせたりするケースが出ている。厚生労働省は昨年6月、予定通りの接種を呼び掛けるリーフレットを作成。岡山県医師会の國富泰二感染症対策理事は「予防接種は“不要不急”には当たらない。決まった時期に合わせて速やかに受けてほしい」としている。3月1~7日は子ども予防接種週間。

 定期予防接種は「予防接種法」に基づいて行われ、小児期にかかると重症化しやすい▽流行性がある▽ワクチン接種による予防効果が確認されている―などの疾病が対象。ヒブ(インフルエンザ菌b型)や肺炎球菌、BCG、麻しん・風しん、日本脳炎などのワクチンを、公費負担で接種できる。昨年10月にはロタウイルスも加わった。

 生後2カ月からが接種期間のヒブ感染症や肺炎球菌感染症は、重症化すれば細菌性髄膜炎を起こして命に関わる。難聴や体のまひなどの重い後遺症をもたらす恐れもある。新たに対象となったロタウイルスは子どもに多い感染性胃腸炎で、嘔吐(おうと)や下痢が主な症状。脱水症状になるほか、脳炎や脳症といった合併症も怖い疾病だ。國富理事は「いずれの病気も免疫があれば発症や重症化は高確率で予防できる。だからこそ、予防接種が大切だ」と訴える。

 厚生労働省が全国の政令市を対象に、昨年1~6月の予防接種実施状況を前年同時期と比較した調査では、特に1歳以上で実施する接種が、3~4月を中心に減少。4月の日本脳炎や2種混合は5割ほども減っていた。

 岡山県医師会の調査でも、昨年前半は小児科の受診者が減り、接種の減少も推測される。國富理事は「延期して、そのまま受けていない人も一定数はいると思われる。たとえコロナが収束しても、定期接種を受ける人が減れば、子どもの間で他の感染症が広がる恐れが否定できない」と心配する。

 予防接種を受けるタイミングは、感染症にかかりやすい年齢などを基に決められている。生後2カ月といった早い段階での接種は、免疫が十分ではない時期に、子どもの健康を守る意味がある。各医療機関は換気や消毒に加え、一般の診察時間と予防接種の時間をずらしたり、接種用の部屋を診察室とは別に設けたりするなど、感染防止対策は十分にとっている。國富理事は「事前検温やマスク着用など新型コロナへの予防対策を心がけた上で、決められた時期にきちんと接種をしてほしい。また先送りした人もなるべく早く受けて」と呼び掛けている。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年02月28日 更新)

タグ: 子供感染症

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