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肥満と糖尿病性腎症 関係解明へ国内初研究 岡山大病院四方教授ら 500人を3年間追跡

四方賢一教授

 岡山大病院新医療研究開発センターの四方賢一教授(腎・免疫・内分泌代謝内科学)らのグループは、肥満と糖尿病性腎症の関係を調べる国内初の研究を始めた。糖尿病患者500人を3年間追跡調査することで、科学的に証明されていない肥満との因果関係を明らかにし、健康指導や治療に生かす。

 わが国の慢性腎臓病患者のうち2009年は3万7千人が新たに透析患者になっており、約45%を糖尿病性腎症が占めている。肥満が病気のリスクになりやすいことは指摘されているが、肥満を伴う糖尿病患者は半分程度。「大規模な追跡調査で関連性を証明した研究はない」(四方教授)という。

 研究は厚生労働省の慢性腎臓病に関する調査研究班の分担研究の一つ。同病院と国立病院機構岡山医療センター(岡山市)、岡山済生会総合病院(同)、おさふねクリニック(瀬戸内市)が共同実施する。

 生活習慣が影響するとされる2型糖尿病の通院患者500人(20〜74歳)を7月末から登録開始。このうち200人は尿のアルブミン量が正常で腎症をまだ発症していない患者で、「進行度」と「発症」のそれぞれで因果関係を調べる。

 患者はまず体格指数(BMI)や腹囲のほか、CT(コンピューター断層撮影装置)で内臓脂肪の面積を正確に計測。同時に、尿のアルブミン量、血液のろ過能力を表す糸球体ろ過値(GFR)、コレステロールなどの細かいデータを3カ月ごとに計測する。3年間を終えた時点で腎機能の変化を分析する。

 四方教授は「肥満と糖尿病性腎症の因果関係を証明できれば、体重を減らすことが血糖値を低下させるだけでなく腎症予防に役立つとも言える。内臓脂肪量との関連性も分かれば、より具体的な治療法への応用も期待できる」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月13日 更新)

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