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(4)周術期の手術室看護師のかかわり 岡山市立市民病院手術看護認定看護師 國冨規奈代

國冨規奈代氏

 患者さんにとって負担の少ない低侵襲治療を受けられるよう、外来から入院、手術、退院までの周術期を通して「身体と心に優しい治療」の提供を目的に「低侵襲手術センター」が設置されました。

 周術期の手術室看護師の役割は「全ての患者さんが安全・安心な手術を受けていただくための看護の提供」です。

 当院では、PFMセンター(入退院管理支援センター)と連携のもと、麻酔科外来の受診の後に手術室看護師による「術前外来」を実施しています。

 術前外来では、手術に向けて基礎疾患の状態がコントロールされ身体の準備ができているか、ご家族の状況でお困りになることがないかなど患者さん・家族間の調整について確認を行います。また、麻酔や手術室での様子をリーフレットに沿ってお伝えしていますので、ご希望や疑問点があれば、遠慮なく相談してください。

 現在、低侵襲で手術を受けられることから、「フレイル」という加齢に伴う身体の予備能力(ダメージを受けたときに回復できる能力)が低下した状態の患者さんの手術も増えています。また、高齢者の場合、口腔(こうくう)衛生状態が不良になると肺炎や術後合併症のリスクが高くなります。歯科衛生士、リハビリテーション科、管理栄養士などと連携して、手術に向かって患者さんの身体を整え、体力の向上に努めています。

 低侵襲手術には、皮膚に小さな穴を数カ所開けて体内にカメラや繊細な器具を挿入して行う手術があります。器械出し看護師は各種器具が適切に使用できるよう管理しています。また、外回り看護師は他職種とのコーディネーターとしての役割を担い、円滑な手術進行や術後合併症の予防にも取り組んでいます。

 手術室では、薄手の手術着を着て部屋は寒いイメージがあるかもしれません。患者さんの体温管理はとても重要です。体温の低下はさまざまな悪影響を及ぼし、術後の回復を阻害する原因になるため、術前・術中から体温の低下を防ぐ対策を講じています。

 術後は、術前から退室までの状況を病棟看護師へ申し送って連携をとります。患者さんにとって、手術前から気になる痛みに対しては、術中から痛み止めを行い、目が覚めた時には痛みは少ない状態です。病棟に帰ってからも、継続して痛み止めを行うことができるので、痛みが強くなる前に遠慮なく病棟看護師へ申し出てください。

 手術室看護師は、患者さんのそばに寄り添って、安心して手術を受けていただけるようサポートさせていただきます。

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 岡山市立市民病院(086―737―3000)

 くにとみ・きなよ 2007年岡山市立市民病院に入職。19年手術看護認定看護師資格取得。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年03月01日 更新)

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