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(4)肝臓病の栄養療法 料理教室、他病院との連携 岡山済生会総合病院栄養科管理栄養士 大原秋子

大原秋子氏

 「栄養バランス良く、適量食べられていますか?」

 肝臓病の食事は、毎日きちんと栄養をとることがポイントとなります。最近はいつでもどこでも食べられるようになり、食べ過ぎによる弊害(脂肪肝)が出てきています。季節の食材を取り入れ、おいしく賢く食べましょう。

 ■脂肪肝の食事ポイント

 脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまった状態です。見た目がスリムな人にも見られ、体重が2~3キロ増えただけでも肝臓に脂肪がたまる可能性があります。

 食事の基本は「主食1品」「主菜1品(魚、肉、卵、大豆製品など)」「副菜2品(野菜、きのこ、海藻類)」です。手ばかりで1日の目安量を把握して、3食ともそろえて食べるようにしましょう。

 野菜類には食物繊維が含まれており、腸からの糖質や脂質の吸収を遅らせるため、食事の最初にゆっくりよくかんで食べるように心がけてください。味付けが濃いとつい食べ過ぎてしまいます。最初は物足りなさを感じるかもしれませんが、薄味に慣れ、漬物類など塩分の多い食品は控えましょう。また、間食が多いとエネルギー過多になります。お菓子類やジュース、果物は糖質が多いため、量や頻度など減らしましょう。

 アルコール類は脂肪肝の原因となり、飲酒量や期間がつもるほどもっと重い肝臓の病気に近づくので要注意です。

 食事と共に大切なことは運動です。加齢や運動不足などの影響で筋肉が減ってしまった状態を「サルコペニア」と呼びます。毎食栄養バランスの良い食事を食べると共に、筋肉量を落とさないための運動を心がけましょう。

 ■料理教室で体験

 当院では1997年より肝臓病教室を開始し、99年からは男性にも興味を持っていただけるよう食事療法の実践編として料理教室を行っています。医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、調理師など多職種が参加し、みんなエプロン姿で参加者と一緒に調理し、料理を食べながら食材の組み合わせ方、量や味付けなどを確認して食事療法につなげています。これまでのレシピを集めた料理本「肝臓にやさしいかんたんレシピ」は院内のコンビニで販売しています。

 2016年からは「脂肪肝」をテーマに他医療機関(岡山大学病院、津山中央病院、松田病院)と共同で開催し、患者・スタッフともに交流を深めています。

 ■料理動画の公開

 今年度は、コロナ禍のため例年のようにみんなで集まり料理を作って食べることが難しくなりました。毎年楽しみにしていただいているため、どうにか開催できないかと検討を重ね、料理動画を撮影して教室を行い、好評を得ました。料理動画は当院のホームページの肝臓病教室にて公開しております。

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 岡山済生会総合病院(086―252―2211)

 おおはら・あきこ 倉敷青陵高校、川崎医療短期大学栄養科卒業。1993年から岡山済生会総合病院勤務。日本糖尿病療養指導士、病態栄養専門管理栄養士、がん病態栄養管理栄養士、NST専門療法士。2020年から川崎医療福祉大学大学院医療技術学研究科臨床栄養学専攻修士課程在学。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年03月17日 更新)

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