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(6)尿路結石 倉敷成人病センター尿路結石センターセンター長 石戸則孝

石戸則孝氏

 ■高齢者に増加

 尿路結石症は、生活習慣病として年々増加しており、全国調査でも受診年齢の高齢化が指摘されています。

 尿路結石症は一般的に「痛い」病気といわれています。その痛みは狭い尿路を石が通過する時の症状ですが、石が動かなくなってしばらくたつと、痛みをほとんど感じなくなります。「痛くない」石は、一見心配ないように思われがちですが、糖尿病など持病をお持ちの方が尿路感染症や腎不全を合併した場合、生命の危険を伴うことがあります。

 コロナ禍で、高齢の方は病院に足が遠のきがちですが、片腹が重だるい、食欲がない、尿の出が悪い、尿の色が気になるなど、わずかな異常であっても続く時は、早めに泌尿器科を受診してください。

 ■尿路結石センター

 当センターでは、尿路結石症の予防から手術までを全面的にサポートしています。

 最新の医療機器を使って、石の大きさや場所を特定したのち、患者さんひとりひとりの生活スタイルやご希望に合わせた治療を、医師と相談して決めることができます。

 大半の石は薬で溶けません。小さな石に対しては、痛みが少なく、尿とともに自然に排出するお手伝いをします。大きな石には開腹手術ではなく、体に負担の少ない低侵襲手術を行っています。腎臓や尿管の石に対する外来手術は、体の外から衝撃波による結石破砕を行っています。治療が困難な石には入院していただき、レーザーなどの破砕装置を使った内視鏡手術を行っています。

 ■最新式レーザー破砕装置

 最新式レーザー破砕装置を導入し、大きくて硬い石に対し、2台のレーザーを使い、双方向から治療しています=図1。腎臓や尿管の石に対する手術では、尿道に加え、脇腹から腎臓まで到達する通り道を作り、ボールペン半分くらいの太さの管から内視鏡を入れて、テレビモニターを見ながら石を砕き、体外に吸い出します=図2。この方法は、当センターが全国に先駆けて導入し、昨年、保険適用となりました。

 ■尿路結石外来

 当センターの尿路結石外来では、石の性質を予知する特殊なCTなどの画像検査に加え、尿や血液検査により、石ができる原因を調べることができます。体外に取り出された石の成分から、遺伝性の有無などを調べ、再発を予防する方針を立てています。

 石の再発を繰り返す患者さんに対しては、生活習慣病の是正や体質改善の一環として、推定食塩摂取量から減塩などの生活指導にも力を入れています。水分補給に加え、必要に応じて再発を予防するお薬を処方します。尿路結石のお悩みやご心配があれば、お気軽に尿路結石外来までご相談ください。

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 倉敷成人病センター(086―422―2111)

 いしと・のりたか 岡山朝日高校、岡山大学医学部卒。同大学院医学研究科修了。医学博士。1995年より倉敷成人病センター勤務。2018年より現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医。岡山大学医学部医学科臨床教授。日本尿路結石症学会評議員。日本尿路結石症診療ガイドライン委員。日本泌尿器内視鏡学会賞受賞。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年04月19日 更新)

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