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(8)肝臓病の新しい助成金制度について 岡山済生会総合病院事務部医事1課事務員 松本裕樹

松本裕樹氏

 B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスが原因の肝がん・重度肝硬変の入院・通院治療の医療費も助成を受けられることはご存知でしょうか。今回はその制度についてお伝えします。

 厚生労働省は2018年12月から、医療費の助成・研究促進の「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」を始めました。肝がん・重度肝硬変は長期にわたる療養を必要とするため、患者さんの医療費の負担軽減を図りつつ、最適な治療を選択できるようにすることを目的としています=図1

 助成を受けるための要件を満たしたうえで、岡山県に申請し、認定を受けることができれば、指定医療機関で受けた対象医療の自己負担額が1医療機関あたり月1万円になり、医療費の負担を抑えられます=図2

 当院では岡山県の指定医療機関の一つとして、医師、医療ソーシャルワーカー、医事課職員が連携し、患者さんが安心して申請できる体制を整えています。具体的な取り組みとして、医事課職員が要件を満たしている患者さんを日々点検し、助成の申請対象となれば主治医と医療ソーシャルワーカーから患者さんに事業の説明をし、申請手続きに必要な書類を交付します。

 この取り組みで、一人でも多くの患者さんにこの事業を知ってもらい、助成を受けられるためのサポートをこれからも続けていきたいと考えています。事業に興味を持たれた方や、より詳細な情報を知りたい方は、岡山県のホームページより、「肝がん・重度肝硬変医療費助成事業」を検索してみてください。

 次に、当院の肝臓病センターの取り組みについて紹介します。

 肝臓病センターでは毎週木曜日に退院支援カンファレンスを行っています。カンファレンスでは、入院1週間以内の患者さんについて、患者さんの病態や社会的背景などを情報共有しながら多職種で問題点や治療について検討しています。医師を含め、多職種が参加することにより真の病気やその治療方針が把握でき、ケアの質の向上だけでなく計画的な退院支援へとつながっています。

 また、医事課職員も参加することにより、DPC/PDPS(診断群分類別包括支払い制度)で最も重要な傷病名の選択や制度について多職種にも情報発信ができるので、患者さんに最適の医療サービスを提供できると思われ、効率的な病棟運営へつながっています。今後は肝臓病センターだけでなく、その他の病棟にも広げ、病院全体で取り組んでいきたいと考えています。



 岡山済生会総合病院(086―252―2211)

 まつもと・ゆうき 川崎医療福祉大学卒。2018年より岡山済生会総合病院勤務。事務部医事1課所属。救急外来受付業務を経て、入院計算(DPC)業務を担当。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年06月07日 更新)

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