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コロナ感染予防へ口腔ケア徹底を 岡山県歯科医師会・清水理事

「コロナの感染予防のためにも口腔内の健康維持は重要」と話す清水理事

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、口腔(こうくう)内の健康があらためて重要視されている。受診控えなどを背景に虫歯や歯周病を悪化させる人が増えているだけでなく、それらの原因菌が口の中にはびこることで、ウイルスの体内侵入を防ぐための抵抗力が低下してしまうためだ。岡山県歯科医師会の清水裕雄理事(60)は「コロナ禍こそ徹底した口腔ケアを」とし、歯科受診や自宅での適切なブラッシングを呼び掛ける。

   ◇

 ―口腔内の環境が悪化すれば感染リスクが高まるという。メカニズムは。

 ウイルスが体内に侵入する経路は口の中やのどの粘膜。健康な状態であれば、人間が本来持つ抵抗力によって侵入を防げる。反対に、歯周病菌などの細菌が増えれば、細菌の出すタンパク質分解酵素が粘膜を破壊して抵抗力がぐんと落ち、ウイルスの侵入を許してしまう。感染リスクの低減には、口の中をきれいにしておくことが欠かせない。

 ―コロナ禍の生活が引き起こす口腔内のトラブルは。

 感染を恐れての受診控えの影響で、虫歯や歯周病が進行した患者が増えている。マスクの着用時間が長いことも要因の一つと考えられ、息苦しさから口呼吸になり、口の中が乾いて抗菌作用を持つ唾液が減ってしまう。外出自粛や在宅勤務で食事が不規則になることも悪影響で、だらだらと食べていたり食べる回数が多くなったりして、虫歯リスクが高まっている。

 歯周病が進行すればプロによるクリーニングが必要。どの歯科医院も感染対策を講じており、口の中に不安がある人は放置せず受診し、健康な人も半年に1度はチェックを受けてほしい。

 ―自宅では何に注意すればいいか。

 小さめの歯ブラシで歯と歯の間を意識してブラッシングすることだ。1日1回、完全に汚れを落とす気持ちで、10分以上かけて磨く。1、2分ではきれいにならない。洗面台の前でただ磨くだけだと短時間になりがちなので、くつろげる場所に座って“ながら磨き”をしてみるなど工夫をしてもらえれば。

 口の中が乾燥している起床時は、舌に細菌が付着して白っぽくなることがある。そういうときはうがいと舌磨き。舌は歯ブラシでこすると痛めるので、専用ブラシかガーゼを使うといい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年06月08日 更新)

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