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「いきなりエイズ」過半数占める 20年県内確認、コロナで検査減

 エイズを発症してから初めてエイズウイルス(HIV)に感染していることに気付く患者が、岡山県内で後を絶たない。「いきなりエイズ」と呼ばれ、2020年は8人確認され、HIV感染者全体(15人)の過半数を占めた。感染段階で発見、治療すれば発症を抑えられるが、新型コロナウイルス禍の影響で検査数は激減しており、県は「もしかしたら…と思ったら早期に検査を」と呼び掛けている。

 いきなりエイズ患者がHIV感染者の半数を超えるのは、06年(8人のうち5人)以来。今年に入ってからも今月6日までに報告のあった感染者2人がいずれも該当し、累計患者数は1994年に初めて確認されてから98人(男性90人、女性8人)となった。県内のHIV感染者は91年の初確認以降計287人(男性267人、女性20人)おり、およそ3分の1をいきなりエイズ患者が占める。

 検査(要予約)は血液検査で、川崎医科大付属病院(倉敷市)や国立病院機構岡山医療センター(岡山市)など県内10カ所のエイズ治療拠点病院で一律千円で受けられる(匿名は原則不可)ほか、各保健所・支所では無料・匿名で可能。ただ、20年はコロナ禍で病院の受診控えが起き、一部保健所では検査も一時停止されたため、検査数は699件と例年(1200件前後)から大幅に減少、現在もその傾向が続いている。

 エイズはHIVが体内の免疫システムを破壊する病気で、感染後、自覚症状がない期間を経て発症する。そのため、「感染に気付かないまま性交渉を持ち、知らないうちに他人に感染を広げてしまう懸念もある」と県健康推進課。「早期発見すれば薬による治療で免疫力を回復させ、発症を阻止することができる」と検査の重要性を強調する。検査の機関や日時は同課のホームページで確認できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年06月13日 更新)

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