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RSウイルス感染症が急拡大 県調査、乳児ら重症化リスクも

 呼吸器の感染症「RSウイルス感染症」の患者が、乳幼児を中心に岡山県内で急増している。例年は夏の終わりから秋にかけて流行するが、県の定点調査(54医療機関)によると、最新データとなる14~20日の1週間に報告のあった1医療機関当たりの平均患者数は、過去10年間の同時期で最多。季節外れの急拡大の原因について県は「流行のなかった昨年かからずに済んだ乳幼児にも感染が広がり、患者数を押し上げているのでは」とみている。

 5月中旬から報告が増え始め、20日までの1週間の平均患者数は1・48人(昨年同時期0人)。地域別では岡山市(平均患者数3・07人)、倉敷市(同2・09人)、倉敷市を除く備中地域(同1・57人)の順で多かった。全て3歳以下で、うち1歳以下が全体の8割を占めた。

 RSウイルスは感染力が強く、主にくしゃみやせきなどの飛沫(ひまつ)を通じて拡大する。2歳までに9割以上が初感染し、大人になっても繰り返しかかるが、たいていは風邪のような軽症で終わる。

 岡山赤十字病院小児科の井上勝部長によると、乳幼児が感染すれば、ひどいせきや息を吐くときに「ゼーゼー」という喘鳴(ぜんめい)を伴うことが多く、肺炎や細気管支炎を引き起こす恐れもある。特に1歳に満たない乳児や、心臓や呼吸器に疾患がある場合は重症化リスクが高いという。

 昨年は流行せず、今年は早くも患者が急増している背景として、昨年は新型コロナウイルス感染対策が徹底され、RSウイルスの感染抑止にもつながった▽昨年は乳幼児の集団感染が発生しやすい保育園やこども園が、コロナ禍で休園したり登園自粛を要請したりした▽昨年感染しなかったことで抵抗力の弱い乳幼児が増えた―などが考えられるものの、はっきりしたことは不明。

 県健康推進課は「全国で同様に流行しており、県内でも今後さらに拡大することが懸念される」と指摘。「親やきょうだいが軽症だと感染に気付かないまま、重症化リスクの高い乳児にうつしてしまう可能性もある。手洗いや玩具の消毒など感染予防に努めてほしい」と呼び掛けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年06月28日 更新)

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