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(1)これがサイバーナイフだ! 岡山旭東病院脳神経外科サイバーナイフセンター長 津野和幸

津野和幸氏

 一般に、腫瘍性病変(悪性腫瘍=がん、肉腫/良性腫瘍=ポリープ他)に対する治療は、手術療法、放射線治療、薬物治療(抗がん剤、分子標的薬など)があり、疾患により、それぞれを組み合わせて治療を行います。

 岡山旭東病院では、2000年よりサイバーナイフを用いて放射線治療を行い、岡山市内だけでなく、中四国の腫瘍性病変治療の一端を担っています。

 サイバーナイフ治療とは、医療用放射線を使った治療で、狙ったところに絞って放射線を当てる定位放射線治療に含まれます(他にガンマナイフ、ノバリスなど)。

 治療装置としてのサイバーナイフの特徴は、

 (1)痛みを伴わない簡便な固定具で、再現性のある治療(複数回の分割)にも対応

 (2)頭蓋内病変・頭頚部(けいぶ)病変に限らず、体幹部病変の治療も可能

 (3)呼吸性移動を伴う臓器の治療への対応

 ―が挙げられます。

 治療対象疾患は、頭蓋内腫瘍(主に転移性脳腫瘍、その他、原発性脳腫瘍)、脳動静脈奇形、頭頚部腫瘍、体幹部腫瘍(原発性・転移性肺がん、原発性・転移性肝がん、前立腺がん、原発性腎がん、膵(すい)がん、転移性脊椎腫瘍、転移性リンパ節腫瘍)、脊髄動静脈奇形となっています。各疾患で治療対象には条件があり、全て治療可能というわけではありません。

 現在の治療装置=写真=は18年3月から稼働し、線量率(単位時間当たりの放射線出力)が増加し、治療時間が短縮しています。通常の治療時間は1病変・1回あたり20分程度です(形状が複雑な病変などでは、時間が長くなる傾向があります)。治療台の上に安静臥床(がしょう)、固定具を装着し、位置確認の後、治療が開始されます。

 肺がんなどの呼吸性移動を伴う病変では、治療前に金属マーカー留置が必要な場合があり、治療中には規則的な呼吸の持続が必要となります。

 サイバーナイフ治療を希望される場合、まずは主治医の先生にご相談ください。定位放射線治療の適応が考慮される場合には、主治医の先生から当院へご相談いただくとスムーズです。診療情報提供書や経過のわかる画像を記録したCD―R、腎機能が確認できる血液検査、アレルギー情報(食物、薬剤、造影剤=製剤名・前投薬)のファクス+郵送をお願いしています。病状、経過、治療予定、方針に合わせて速やかに対応しています。体幹部症例では別途連絡する場合があります。

 患者さんからの治療に関するご相談は、サイバーナイフ秘書まで。



 岡山旭東病院(086―276―3231)

 つの・かずゆき 岡山大学医学部卒。岡山大学病院、国立岩国病院(現、岩国医療センター)、岡山済生会病院、赤穂中央病院、三原興生病院を経て2006年岡山旭東病院赴任。脳神経外科ならびにサイバーナイフ治療に従事し、15年より現職。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年07月05日 更新)

タグ: がん岡山旭東病院

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