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(8)二十歳の健診 倉敷中央病院付属予防医療プラザ健診サービス課長 妹尾優子

妹尾優子氏

 7回にわたりお届けしてまいりました倉敷中央病院付属予防医療プラザの連載も、今回が最後となりました。

 皆さまはご自分の体質について、どのくらいご存じですか? “血圧が高い”“太りやすい”など感じている部分がある方も多いと思います。今回ご紹介する『二十歳(はたち)の健診』は、生活習慣病の「遺伝子検査」と体組成検査、基本健診をセットにしたコースです。

 最近よく耳にする「遺伝子検査」。ハリウッド女優が遺伝子検査を基に乳がんの予防的措置を行ったことで一気に世間に広まりましたが、近年予防医療の分野でどんどん新しい検査が出てきています。

 当プラザで扱っている「サインポスト遺伝子検査」はがんに関する遺伝子検査ではなく、生活習慣病に関する検査です。これまでの研究で保有遺伝子の違いが生活習慣病の発症・進展の違いにつながることが明らかとなっています。肥満や運動不足などの「生活習慣」だけでなく個人の「遺伝体質」にも原因があるため、食事や運動に気をつけていても生活習慣病がすすみやすい人と、気をつけていなくてもすすみにくい人がいるのです。

 「サインポスト遺伝子検査」では、生活習慣病につながる肥満、高血圧、動脈硬化、体内老化など14項目にわたる個々人の遺伝子レベルの「体質」が分かります。「体質」を知ることで、疾患への効果的な予防法や個人に適した栄養素やライフスタイルもわかるので、より健康的な生活を送るための指標になります。

 当プラザでは自分の健康にはまだ興味のないお子様やお孫様への成人のプレゼントとしても『二十歳(はたち)の健診』をご提案しています。遺伝情報は生涯変わることはありません。成人を機に脈々と受け継がれる遺伝子による「体質」を知り、生涯の羅針盤として、これからの健康に役立てていただきたいとの思いです。

 もちろん年齢に限らず、健康に気をつけている方、効果的な体質改善に取り組みたい方、ご家族に生活習慣病の方がいらっしゃる方にもおすすめです。

 『二十歳(はたち)の健診』の検査当日は、採血による「サインポスト遺伝子検査」と身体計測・胸部エックス線・心電図等の基本健診、現在の身体状況が分かる「体組成検査」と運動指導士による面談を実施します。さらにご希望の方には後日、倉敷中央病院の遺伝診療部医師が結果説明も行っております。

 毎年の健診による疾病の早期発見や生活習慣改善に加え、これまでご紹介したように、進んだ科学技術を用いてご自身の健康のウイークポイントを知り、それに備えていくことが予防医療の考え方です。当プラザは、先進的な検査にも積極的に取り組み、地域の皆様の健康寿命の延伸に向けて邁進(まいしん)しています。

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 倉敷中央病院(086―422―0210)。連載は今回で終わりです。

 せのお・ゆうこ 神戸大学教育学部卒業。流通業にて店舗・秘書・広報業務に従事。帰岡後、2008年倉敷中央病院に入職。地域医療連携室を経て、総合保健管理センター(現予防医療プラザ)にて健診業務に携わる。診療情報管理士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年11月18日 更新)

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