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(4)血尿が出たら、泌尿器科へ受診を!! 岡山中央病院泌尿器科医師 森分貴俊

森分貴俊氏

 血尿とは、尿中に血が混ざっていることで、尿を作る臓器(腎臓)や尿の通り道となる臓器(腎盂(じんう)、尿管、膀胱(ぼうこう)、前立腺、尿道)のどこからか出血している異常な状態です。

 原因となる疾患はさまざまで、挙げればきりがありませんが、泌尿器科で扱うものには、尿路感染症(膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎、尿道炎など)、悪性腫瘍(腎がん、膀胱がん、腎盂がん、尿管がんなど)、尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石など)、その他(前立腺肥大症、特発性腎出血、腎嚢胞(のうほう)など)があります。

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 血尿には大きく分けて顕微鏡的血尿と肉眼的血尿があります。顕微鏡的血尿は健診や人間ドックの尿検査で異常を指摘されて初めて気が付くような血尿で、肉眼的血尿は自分の目で見てもわかるような赤や茶色の尿が出る血尿です。

 特に肉眼的血尿は出血量が多いため、顕微鏡的血尿よりもがんや結石などの治療が必要となる疾患が隠れている確率が高いです。

 また、血尿は症候性と無症候性に分けることもできます。症候性とは痛みや不快感を伴うもので、通常は膀胱炎や尿管結石などの良性疾患を疑います。無症候性とは血尿以外の症状がないですが、実はこちらのほうが危ない兆候で、尿路悪性腫瘍(がん)を疑う代表的な症状と言えます。

 もちろん肉眼的血尿=がんではありませんが、尿路悪性腫瘍のほとんどは無症候性肉眼的血尿を契機に見つかると言われています。喫煙歴のある方、男性、40歳以上はがんのリスクが高く、特に注意が必要です。

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 実際に泌尿器科を受診された場合ですが、まずは問診や尿検査を行い、さらに精査が必要な場合は超音波検査を行います。超音波検査は比較的簡単に、また痛みなく、がんや結石の有無を調べることができる有用な検査です。

 それでも原因がはっきりしない場合や、膀胱がんを疑う場合には、膀胱鏡検査やCT検査を行います。膀胱鏡検査は膀胱や尿道内を直接内視鏡で確認する方法で、多くの情報を得ることができます。CT検査は超音波で見にくいと言われる尿管の病変や尿路の全体像を把握する場合に有用です。

 いずれの疾患であっても早く見つかれば、それだけ体に負担の少ない治療で済む可能性が高くなります。前立腺がん以外の尿路の悪性腫瘍は血液検査でわかるような有用な腫瘍マーカーがほとんどないために、血尿は自分の体が教えてくれる重要なサインとなっています。血尿がでたら放っておかずに泌尿器科を受診することをお勧めします。

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 岡山中央病院(086―252―3221)

 もりわけ・たかとし 岡山大学医学部卒業。岡山大学医学部付属病院泌尿器科入局、福山市民病院後期レジデントを経て、2019年より岡山中央病院に赴任。日本泌尿器科学会専門医、ダヴィンチ手術Certificate(術者)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年01月17日 更新)

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