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妊娠中の歯周病 胎児の発育阻害か 岡山大生 3月国際学会で研究発表

歯周病が胎児の発育に与える影響について説明する棚井さん

 妊娠中に歯周病だった場合、胎児の発育に悪影響を与える可能性が高い―。岡山大歯学部4年の棚井あいりさん(22)は3月に米アトランタ市で開かれる国際歯科研究学会で、1年5カ月間取り組んできた研究の成果を発表する。日本代表として臨む棚井さんは「各国代表と交流できるのが楽しみ。堂々と披露したい」と意気込んでいる。

 2020年秋に岡村裕彦教授(口腔(こうくう)形態学)のゼミに入った棚井さんは、晩婚化などに伴う高齢出産の増加に着目。妊娠などに悪影響を与えることが指摘される歯周病と胎児の発育を研究テーマに据えた。

 棚井さんは妊娠した複数のマウスによる実験を実施した。歯周病の原因菌に感染させたヒト由来の免疫細胞の一部を、妊娠7日目のマウスの尻尾に注射。一定の日数を空けて注射を繰り返し、妊娠18日目の胎児の体重を測ったところ、健康なマウスの胎児よりも平均で0・7グラム軽く、半分ほどの重さにとどまっていた。

 胎盤にある血管の断面積を測定した結果、注射をしたマウスは健康なマウスの半分程度だった。菌は血流に乗って胎盤、胎児内に“侵入”していたことも確認。胎児の成育を妨げていると見立てている。

 国際歯科研究学会での発表者を決める大会(日本歯科医師会主催)は昨年6~8月、オンラインで開かれ、国内の学生21人が研究の成果を英語で披露。棚井さんは口腔ケアの大切さを訴える内容と英語力の高さを評価されて優勝した。

 研究成果は論文にして学術誌に投稿する予定。棚井さんは「将来は国際的に活躍する研究者となり、医療の発展に貢献したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年01月30日 更新)

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