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(3)輸入ワクチンの接種できる予防接種センター ―帯状疱疹や子宮頸がん予防ワクチンも― 笠岡第一病院予防接種センター長 寺田喜平

寺田喜平氏

 当院の予防接種センターは、2018年6月に開設しました。岡山県内で輸入ワクチン==を接種できる唯一の施設です。

 コロナ禍で海外へ出国される方は大幅に減少しております。しかし、企業からの海外出張や東南アジアの駐在員はコンスタントにおられます。とくに発展途上国へ渡航する場合、日本では必要のないワクチンも接種すべき場合があります。たとえば、狂犬病ワクチンや腸チフスワクチンなどです。狂犬病は死亡率100%の病気ですし、腸チフスは重症化して、腸穿孔(せんこう)をきたす場合もあります。

 以前から、日本人は欧米からの渡航者と比較して、接種して行く人が極端に少ないために、腸チフスに感染する頻度が高いのです。東南アジアの医師からは、「また日本人が腸チフスになった」「日本人は接種して入国すべき」と警告されています。ぜひインターネットで、厚生労働省の検疫所が出している情報(FORTH)をもとに、渡航国の接種すべきワクチンを考え、接種して渡航すべきです。

 また、子どものころの接種歴が不十分なことから、そのほかの追加接種が必要なことがあります。きちっと母子手帳で接種歴を確認したうえで、十分準備して出国してほしいものです。わからなければ、余裕をもってご相談ください。

 最近、海外渡航者以外のワクチンで増加しているのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)予防ワクチンと子宮頸(けい)がん予防ワクチンです。帯状疱疹は50歳から急に増加し、3人に1人がなるようなありふれた疾患です。加えて、帯状疱疹後神経痛で苦労されることの多い厄介な病気です。昨年から帯状疱疹を90%以上、帯状疱疹後神経痛を100%予防できる新しいワクチンが日本でも使用できるようになりました。

 また、4月から再び子宮頸がん予防ワクチンが積極的な勧奨ワクチンとなります。先進国で日本のみが中止で、その他の国々では子宮頸がんが半減しているからです。現在も接種対象者は無料で接種できますので、接種希望者が増加しています。

 小児、高齢者用から渡航ワクチンまでを記載したガイドブック「よくわかる予防接種のキホン」を中外医学社から出版しております。

 詳細は笠岡第一病院のホームページをご覧ください。

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 笠岡第一病院(0865―67―0211)

 てらだ・きへい 川崎医科大学卒業後、天理よろず相談所病院で研修。井原市民病院小児科医長、スタンフォード大学留学、のち川崎医科大学小児科学教授。ミネソタ大学、オックスフォード大学小児病院やジェンナー研究所でも研さん。2018年から現職。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年02月07日 更新)

タグ: 笠岡第一病院

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