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(2)コロナ禍でもつながる地域活動 万成病院リハビリテーション課主任 森安有岐子(作業療法士)

「地域交流カフェ こだま」を開いている、築100年以上の古民家「こだまの杜(もり)」

昨年12月に開かれた「サプライズ!! クリスマスコンサート」

森安有岐子氏

 ■地域交流カフェ こだま

 万成病院では「精神科医療からの町づくり」を目指し、谷万成町内会と協力し、『医療や介護の専門職とゆるやかに出会い、ひとりひとりが健康で、支えあえる地域づくりを目指す』ことを目的に、「地域交流カフェ こだま」を開設しました。

 精神科医師、看護師、作業療法士、管理栄養士、精神保健福祉士などが運営スタッフとして参加し、専門職によるミニ講座や健康チェック、健康体操などを行い、心身の健康に対して気軽に相談できる関係づくりを目指し、今年で7年目を迎えようとしています。これまでたくさんの方々がこの地域交流カフェに足を運んでくださり、地域の方々の貴重な集いの場となってきました。

 ■コロナ禍でのつながり

 この2年、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、全国のさまざまな活動が停止する事態となり、その影響は地域活動にも及びました。これまで行われてきたふれあいサロンや地域の見守り、支えあいは中止になり、外に出て行くことが悪いことのように言われる時期もあり、高齢者を中心に、家に留まることで心身ともに虚弱となる「フレイル」や社会的孤立に陥ることが懸念されました。

 私たち「地域交流カフェ」では、このカフェ自体の意味や目的を再度見つめ直し、「今求められていることは何なのか」「今まで大切にしてきたつながりをどのように継続していけばよいのか」話し合いを繰り返し、「コロナ禍でも地域交流カフェの開催は必要」と判断しました。

 ■正しく恐れながら活動を継続していく

 岡山県内の感染状況を確認しながら、3密の回避やマスク着用、手指消毒、パーティションの設置など感染対策を徹底し、カフェの内容についてもミニ講座などの講義形式を中止とし、談笑やモニターを利用した季節感のある映像提供などを行いました。その結果、決して大人数ではないですが、この場を必要としてくれる地域の方々の集いの場となり、「やはりここに来たら落ち着く」「ちょっと気になっていることが聞けて安心した」「最近○○ちゃんの顔見てないから今度誘って来るわ」と自然につながりが生まれてくるようになりました。

 昨年12月に開催された「サプライズ!! クリスマスコンサート」では感染対策を行いながら、当院の職員がピアノやフルートを演奏し、参加者の皆さんと楽しいひと時を共にしました。メロディーに合わせて歌うのではなく、鈴を使って思い思いにリズムを刻むなど、この場を必要としてくれる方々への細やかな贈り物でもあった企画でした。

 これからも新しい形での「精神科医療からの町づくり」に取り組んでいきたいと思います。

     ◇

 万成病院(086―252―2261)

 もりやす・ゆきこ 川崎医療福祉大学リハビリテーション学科卒業。2000年に万成病院に作業療法士として入職。介護支援専門員、認知症キャラバンメイト取得。岡山市出身。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年03月07日 更新)

タグ: 精神疾患万成病院

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