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がんを狙い撃ち トモセラピー導入 川崎医大付属病院、岡山県内で初

川崎医科大付属病院が導入したトモセラピー

 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)は今月から、高精度放射線治療装置「トモセラピー」による診療を始めた。がんだけを“狙い撃ち”できるのが特長で、臓器の機能低下や出血といった副作用を軽減。診療は保険が適用される。同病院によると、岡山県内の医療機関での導入は初めてという。

 コンピューター制御により、さまざまな角度から照射する放射線ビームの強さや形状を複雑に変化させられる装置と、体内を断層撮影するCTがセットになった医療機器。米国のメーカーが2000年代前半に開発した。

 同病院の画像診断センターに設置した。全長約2・8メートル、高さ約2・5メートル。円筒部に照射装置とCTが組み込まれており、患者を乗せるベッド部分が前後に動く。照射範囲は1・3メートルで、同病院の従来機の約3倍という。導入費は約40億円。

 がんの大きさや位置を診断用のCTなどで事前に把握し、照射計画を作成。治療時は、呼吸などで位置が変わるがんをトモセラピーのCTで撮影しながら、動きに合わせて放射線を照射する。ピンポイントで当て続けることができ、正常な細胞への照射を抑えられるという。

 治療は1回10~30分。当面は前立腺、頭頸(けい)部がん治療に活用し、食道、肺、子宮頸がんにも広げていく。遠隔転移があった場合などには保険適用されないこともある。

 放射線科の勝井邦彰部長は「切除が難しい所にできたがんにも対応できる。質の高い医療を提供したい」と話している。

 中四国地方では国立病院機構呉医療センター(呉市)、滝宮総合病院(香川県綾川町)など4施設が導入している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年06月09日 更新)

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