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保健所多忙 県内HIV検査大幅減 21年488件 未受検発症が半数

 岡山県内の保健所などが行うエイズウイルス(HIV)検査数が、昨年は488件と過去5年間で最少となった。新型コロナウイルス禍で検査を取りやめた保健所があるほか、受検・受診控えが影響したとみられる。一方で、検査を受けないまま発症した患者は、新規感染者全体の半数近くに達し、県は「早期発見、治療のために検査を受けてほしい」と呼び掛けている。

 検査(要予約)は、川崎医科大付属病院(倉敷市)や国立病院機構岡山医療センター(岡山市)など県内10カ所のエイズ治療拠点病院で受けられる(一律千円、匿名は原則不可)ほか、各保健所・支所で無料・匿名で実施している。

 県によると、2015年以降の検査数は、19年まで1200件前後で横ばいだったが、保健所のコロナ対応が多忙となるなどで検査を一部中止したこともあって20年は699件と約4割減に。21年はさらに減り、約6割減少した。今年も倉敷市保健所では中止が続き、岡山市保健所も2月以降、検査普及週間(今月1~7日)の2日間を除いて取りやめている。

 一方で、発症して見つかる「いきなりエイズ」と呼ばれる患者は、17~19年は新規感染者全体の2割前後だったものの、20年は8人と感染者全体(15人)の過半数に増加。21年も13人のうち6人と半数近くを占めた。

 エイズはHIVが体内の免疫システムを破壊する病気で、感染後、自覚症状のない期間が続く。早期に発見できれば投薬治療で発症を抑えられることから、県健康推進課は「他の人に広げないためにも、『もしかしたら』と思ったら検査や相談を」としている。

 県内では1991年に初めてHIV感染者が確認され、昨年までの累計は298人(男性278人、女性20人)。うち、いきなりエイズ患者は102人(男性94人、女性8人)となった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年06月09日 更新)

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