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(5)訪問看護の役割~最期まで自分らしく暮らしていただくために~ 天和会訪問看護ステーション管理者 森坂幸子

森坂幸子氏

 天和会訪問看護ステーションは、松田病院を母体としたステーションです。松田和雄前院長が「患者さま一人ひとりの最期まで関わっていこう」という方針で1994年に病院から訪問看護を開始し、96年に天和会訪問看護ステーションを開設いたしました。

 「病気や障害があっても、住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最期まで自宅で過ごしたい」と望まれる方が増加している今、訪問看護師は利用者さんが可能な限り自宅で日常生活を送ることができるよう、自宅に訪問して、その方の病気や障害に応じた看護を行います。住み慣れた家で、その方が自分らしく暮らせるよう、利用者さんやご家族と訪問内容や訪問回数、時間などを話し合い支援しています。

 私たちは主治医の指示のもと、健康状態の観察、病状悪化の防止・回復、点滴や創処置などの医療処置、痛みの軽減や服薬管理、日常生活の援助、療養生活のアドバイス、在宅での看取(みと)り、緊急時の対応などを行っています。

 また、主治医・病院看護師・ケアマネージャー・薬剤師・医療ソーシャルワーカーなどの多職種と連携し、利用者さんの状況に的確な対応でサービス提供に努めています。

 病院を退院された後、「やっぱり家がいいな」と言われる方がほとんどで、住み慣れた家で過ごす、当たり前の日常ほど素晴らしいことはありません。しかし、「ひとりだけど生活できるかな?」「家族で医療ケアや介護ができるかな?」と不安に思われる方も多くいらっしゃいます。私たち訪問看護師は、そんな不安をできる限り軽減できるように支援させていただいております。

 利用者さんの望まれる生活は、ひとそれぞれです。生活の中で大切にしたいことや、これからどのように過ごしたいと思われているのか、その方の生活史を聴きながら理解できるよう寄り添い、共に考えていくことを大切にしています。私たちの存在が、利用者さんとご家族の療養生活の、こころのよりどころとなればと思います。

 人生最期の時をどこでどのように迎えたいかお考えの際に、訪問看護を選択肢のひとつとしてご検討いただけましたら幸いです。お困りのことやご相談がございましたらいつでも遠慮なくお声がけください。

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 天和会松田病院(086―422―3550)

 もりさか・さちこ 倉敷中央高校専攻科卒。しげい病院、杉本クリニックを経て1994年に松田病院入職。病棟師長を経て2020年から訪問看護ステーションで勤務。認知症ケア専門士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年06月20日 更新)

タグ: 松田病院

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